韓国で「タックスリファンド」と言えば、たいてい明洞の化粧品店に貼られた「10% TAX FREE」のシールを思い浮かべる。だが旅行予算でいちばん大きな出費は化粧品ではなくホテルだ。そして、そのホテル代にも付加価値税がしっかり含まれている。
戻ってくる。ただし条件はややこしい。何より、知っている人がほとんどいない。
まず結論から
- 対象ホテルは決まっている。 文化体育観光部が四半期ごとに指定する「特例適用ホテル」だけ。2026年第3四半期は全国109軒。
- 客室料のみ、最大30泊まで。 料金に含まれる朝食はOKだが、別途支払った食事・ルームサービス・サービス料は対象外。
- 空港で受け取る。 チェックアウト時に伝票をもらい、出国空港の還付カウンターで精算。出国後は手の打ちようがない。
宿泊にもタックスリファンドはあるのか?
ある。正式名称は外国人観光客の宿泊用役に対する付加価値税還付特例。2018年に時限制度として始まり、今も期限を延ばしながら続いている。
ショッピングのタックスリファンドとは仕組みが違う。ショッピングは「事後免税店」の看板がある店ならどこで買ってもよいが、宿泊は政府がホテルを一件ずつ指定する。 指定されていないホテルでは、どんなに高い部屋に泊まっても還付はない。
予約したホテルが対象かどうか、どう確かめる?
ここがこの制度の最大の落とし穴だ。指定は四半期ごとに更新される。
ホテルは各四半期の開始前に申請書を出し、文化体育観光部が審査して、その四半期だけ有効な資格を与える。だから3月に還付ができたホテルが、4月にはできないことがある。実際、2026年8月のリスト改定では、ソウルの大手チェーンが1軒外れた。
指定から外れる理由のひとつが値上げだ。前年または前々年の同期間と比べて外国人向け客室の平均販売価格(ADR)を10%超引き上げたホテルは指定対象から外され、すでに還付した付加価値税はホテルが返さなければならない。還付制度が値上げの歯止めも兼ねているというわけだ。
予約前に確認する方法
- ホテルの予約ページに「Tax Refund」または「付加価値税還付」の表記があるか確認する。指定ホテルはたいてい明記している。
- 確信がなければホテルに直接聞く。質問は "Is this hotel designated for the foreign tourist accommodation VAT refund this quarter?"
- 還付業務を代行するのはグローバルタックスフリーとktisの2社。ホテルがどちらと契約しているかまで確認しておくと、チェックアウトが早い。
- 旅行が四半期の境目(3・6・9・12月末)をまたぐなら、両方の四半期のリストを確認する。
いくら戻ってくる?
韓国の表示価格は付加価値税込みだ。だから料金に含まれる税金は料金の10%ではなく1/11、約9.09%。1泊30万ウォンなら付加価値税は3万ウォンではなく27,272ウォンだ。
ここから還付代行業者の手数料がさらに引かれる。だから実際に手にする額は名目上の付加価値税より少ない。
💰 1泊料金別の還付額(名目付加価値税ベース、3泊と仮定)
| 1泊料金 | 1泊の付加価値税 | 3泊合計 | 3泊の名目付加価値税 | 手取りの目安 |
|---|---|---|---|---|
| 150,000ウォン | 13,636ウォン | 450,000ウォン | 40,909ウォン | 約27,000〜35,000ウォン |
| 200,000ウォン | 18,181ウォン | 600,000ウォン | 54,545ウォン | 約36,000〜46,000ウォン |
| 300,000ウォン | 27,272ウォン | 900,000ウォン | 81,818ウォン | 約55,000〜70,000ウォン |
| 500,000ウォン | 45,454ウォン | 1,500,000ウォン | 136,363ウォン | 約91,000〜116,000ウォン |
手取りの幅が広いのは、手数料率が代行業者と金額帯によって違うからだ。ある旅行者は仁川空港で還付を受けた際、手数料が名目付加価値税の40%近く引かれたと記録している。逆に高額帯は手数料率が下がる。料金の6〜7%が戻ると控えめに見積もっておけば、がっかりすることはない。
何が還付されて、何が対象外か?
還付対象は「宿泊用役」だ。ホテルで支払ったすべての金額ではなく、客室を借りた料金である。
🧾 ホテルの請求項目別・還付の可否
| 項目 | 還付 | 備考 |
|---|---|---|
| 客室料金 | ✅ | 制度の本体 |
| 料金に含まれる朝食 | ✅ | 最初からパッケージに含まれる朝食のみ |
| チェックアウト時に追加した朝食 | ❌ | 別途決済は宿泊用役ではない |
| ルームサービス・ミニバー | ❌ | |
| ホテルのレストラン・バー | ❌ | 事後免税ショッピングの対象でもない |
| サービス料 | ❌ | |
| 31泊目以降の宿泊 | ❌ | 最大30泊 |
誰が対象か
就労目的ではない在留資格の外国人で、国内滞在が6か月未満であること。個人旅行者(FIT)が対象で、会社が費用を負担する出張やパッケージの団体宿泊は対象外。在外国民は海外に2年以上居住している場合に限り対象。チェックアウト後3か月以内の出国という条件もつく。
受け取りの流れ — 4ステップ
チェックインから空港まで
- 1. チェックイン — パスポートを提示し、還付対象であることを伝える。指定ホテルは案内書とチェックリストを渡してくれる。
- 2. 滞在中 — 客室料金と付帯費用を分けて精算しておくと、チェックアウトがスムーズだ。
- 3. チェックアウト — チェックリストを出し、還付伝票(Tax Refund Form)を受け取る。この紙がないと空港でできることはない。
- 4. 出国空港 — 出国審査の先にある還付カウンターでパスポートと伝票を提示し、精算を受ける。
ショッピング還付と決定的に違うのが最後のステップだ。ショッピングは無人キオスクにパスポートをかざせば終わるが、宿泊の還付伝票は有人カウンターで処理されることが多い。 キオスクの前で時間を潰し、搭乗時間に追われるという失敗がここで起きる。出国手続きの後は最低20〜30分の余裕を見ておいたほうがいい。
見逃す3つのポイント
伝票をもらわずに出てしまう。 いちばん多い。チェックアウトが混み合うと、フロントが先に案内してくれないことがあり、旅行者は還付が自動でされると思い込む。自動にはならない。紙をもらわなければいけない。
出国してから気づく。 この制度に遡及はない。韓国を離れたあとは、伝票があっても還付は受けられない。
すべての空港・港湾でできるわけではない。 還付カウンターのある指定出国地でしか処理されない。仁川空港以外から出国するなら、その空港にカウンターがあるかを事前に確認しておくこと。
この制度、いつまで続く?
時限制度だ。2018年の導入以来、何度も期限が延長されてきたが、2026年の税制改正案で終了時期が前倒しされた。
政府が示した根拠は、効果に対する公平性だ。外国人観光客の80%が首都圏に集中し、恩恵がソウル・釜山・済州の高級ホテルに偏っているというのだ。指定ホテル109軒のうちソウルが49軒という分布が、その指摘をそのまま物語っている。
旅行計画に織り込むこと
終了時期が確定段階にある今、旅行者にとって大事なのは2つ。第一に、旅行時点で制度が有効かどうか。第二に、泊まるホテルがその四半期の指定リストに入っているか。どちらも予約前にホテルへ一度聞けば片がつく。
ショッピング還付と一緒に受け取るには
2つの制度は別物だ。ホテルの伝票とショッピングの伝票はそれぞれ発行してもらい、空港でも処理窓口が違うことがある。ただ、出国当日にまとめて処理することになるので、動線を先に組んでおくと時間が大幅に縮む。
ショッピング還付の手取りがなぜ10%ではないのか、どの金額帯で損が出るのかは、別の記事で表にまとめてある。
データと出典
- 文化体育観光部 — 外国人観光客の観光ホテル宿泊料付加価値税還付の推進
- 国家法令情報センター — 外国人観光客の宿泊用役に対する付加価値税の特例に関する告示
- 慶北毎日 — 外国人宿泊料付加価値税還付の適用施設募集(2026年第1四半期指定)
- ニュースピム — 外国人宿泊付加価値税還付を前倒しで終了(2026税制改正案)
- 韓国訪問の年委員会 — Hotel Tax Refund Policy for Foreigners
- 指定ホテル数・地域分布は民間集計(2026年第3四半期基準)を参照 — 最終確認は文化体育観光部の四半期公告で。