まず結論から

  • 11月〜3月、ソウルの漢江には冬のカモ類やカワウ、そしてオジロワシなどの猛禽類がやってきます。見るのはタダ。
  • 入門は江西湿地生態公園(5号線傍花駅+村バス江西07)。望遠鏡つきの2階建ての高さの野鳥展望台があります。
  • ほかに汝矣島の栗島(パムソム)渡り鳥展望台(12〜2月)、中浪川のオシドリ、東端の岩寺・高徳生態公園。
  • エサやり禁止、探訪路から出ない、ドローンは持ち込まない。鳥インフルエンザで急に閉鎖されることもあるので出発前に確認を。

1月の漢江は、歩きながら眺めるだけだと何もいないように見えます。立ち止まると話は別。水面に群れで浮かぶ潜水ガモ、栗島の木の上で翼を乾かすカワウ、そしてときどき頭上を大きく旋回する何か。

ソウルではバードウォッチングがじわじわ人気の趣味になっていて、新しく始めた人には30代半ばより下が多いのです。その理由と、どこへ行けばいいか、地下鉄での行き方をまとめました。


なぜ韓国の20〜30代は野鳥観察にはまっている?

「集める」趣味だからです。韓国語で탐조(タムジョ、「鳥を探す」の意)と呼ばれるこの趣味、20〜30代にとっては静かな自然散策というより、ポケモン図鑑を埋めていく感覚に近いようです。どの種が現れるかわからず、新しい鳥を見るたびにリストが1つ増えます。

韓国経済新聞(2026年6月)の報道によると、ニコンが国立世宗樹木園で初めて開いた「バードウォッチング・ピクニック」には約400人が応募し、約70%が20〜30代でした。ある参加者は種類を1つずつ集める感覚を「ポケモンみたい」と表現。記事に登場する消費者経済学の教授は、これを「変動報酬」と呼んでいます。鳥が現れるかわからない不確実さこそが、また足を運ばせるのだと。

同じ記事は、バードウォッチングブランド치치-칫(チチ・チッ)のグッズが6月に鉄原で開かれたDMZピーストレイン・ミュージックフェスティバルで早々に完売したことや、梨花女子大「セラン」、三育大「ホバリング」といった大学の探鳥サークルも紹介しています。ハードルも低めで、入門用の双眼鏡は10万ウォン前後、体験プログラムは無料のものが多いとのこと。

入れておきたい無料アプリ2つ

  • Merlin Bird ID(コーネル大学鳥類学研究所):無料で、韓国の地域パックをダウンロード可能。写真を見せるか、鳴き声を聞かせるだけ。
  • eBird(同研究所):見た鳥をチェックリストで記録し、同じ場所で最近だれが何を見たかも確認できます。

ソウルで冬の渡り鳥が見られる場所は?

漢江沿いの無料スポット4か所で、見たいものはほぼ押さえられます。西端の江西から東の岩寺まで。下の図はおおよその位置と使う駅を示す道案内用の略図で、縮尺どおりの地図ではありません。

縮尺なしの略図。漢江の西から東へ冬の野鳥観察スポット4か所:5号線傍花駅近くの江西湿地生態公園、5号線汝矣ナル駅近くの汝矣島から見る栗島、京義・中央線鷹峰駅近くの中浪川合流部、8号線岩寺駅4番出口近くの岩寺・高徳生態公園

🦆 漢江の冬の野鳥観察スポット(2026年10月時点)

スポットこんな人に最寄り駅行き方設備
江西湿地生態公園初心者、潜水ガモ、猛禽類傍花駅(5号線)2番出口、村バス江西07で終点下車望遠鏡つき2階建ての高さの展望台、約2kmの探訪路、照明なし
栗島(汝矣島漢江公園から)カワウの集団ねぐら、オジロワシ汝矣ナル駅(5号線)2・3番出口から汝矣島漢江公園へ、ノルンマダン南端12〜2月運営の展望台、無料
中浪川合流部オシドリを近くで鷹峰駅(京義・中央線)川沿いを龍飛橋・城東橋方面へ歩く川沿いの遊歩道、川沿いの望遠鏡
岩寺・高徳生態公園オオハクチョウ、猛禽類(運次第)岩寺駅(8号線)4番出口、岩寺ナドゥルモク経由で徒歩約5分漢江展望デッキ、高徳の野鳥観察台

1. 江西湿地生態公園——最初の1か所ならここ

江西(カンソ)漢江公園の中、傍花大橋南端と幸州大橋南端の間にある37万㎡の湿地です。2002年に開園し、2024年に生態・景観保全地域に指定されました。ソウル市の公式ニュースサイトは、11月から翌3月まで冬鳥がとどまると紹介しています。

ここに来る理由は2階建ての高さの野鳥展望台。竹垣の間の小道を抜けた先にあり、川に向けて望遠鏡が設置されています。探訪路は川沿いに約2km、ベビーカーでも歩けるほど平坦。いちばん大きな群れはホシハジロで、オオバン・カワウ・カイツブリ・マガンも見られ、ヨシ原の上ではチョウゲンボウ・トラフズク・ノスリが狩りをします。

夜行性動物のため、園内には照明がありません。日没前までは自由に入れるので、冬は遅くとも午後早めに行くのが無難です。江西漢江公園にはトイレ・コンビニ・駐車場があります。

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2. 栗島(パムソム)——対岸から眺めるラムサール湿地

西江大橋の下にある栗島は、1999年にソウル初の生態・景観保全地域となり、2012年にソウル初のラムサール条約湿地に登録されました。ソウル市はここで約40種・1万羽ほどの鳥を確認しています。島には上陸できません。立ち入れるのは研究者と清掃スタッフだけです。

冬はカワウが群れで休み、木がフンで真っ白になるほど。オジロワシやカワアイサもやってきます。ソウル市は汝矣島(ヨイド)漢江公園のノルンマダン南端で汝矣島栗島渡り鳥展望台を12〜2月だけ無料で運営。公式ページに運営時間の記載はないので、昼間に立ち寄る場所と考えてください。

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3. 中浪川合流部——ソウルのオシドリ区間

中浪川(チュンナンチョン)の下流、清渓川と合流してさらに漢江へつながる区間は、2005年から渡り鳥保護区域です。龍飛(ヨンビ)休憩所にそれを示す石碑があります。

天然記念物の원앙オシドリが冬に集まる場所です。2024年1月にこの区間を歩いたソウル市の市民記者は、鷹峰(ウンボン)駅から出発し、龍飛橋の下の岩で休むオシドリや城東橋の下に集まる群れに出会い、遠くから観察できるよう川沿いに望遠鏡が設置されていたと書いています。城東区は2025年12月に近くのサルゴジ体育公園でオシドリ祭りも開催。2026年の日程は10月時点で未発表です。

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4. 岩寺・高徳生態公園——東の端の野生

ソウルの東端、広ナル漢江公園の中に保全地域が2つ並んでいます。岩寺(アムサ)生態公園は8号線岩寺駅4番出口から岩寺ナドゥルモク(河川敷への通路)を抜けて徒歩約5分。ソウル市はここでハイタカ・チョウゲンボウ・ノスリを含む29種の鳥を記録し、オオハクチョウやカワウソもすむと紹介しています。

川沿いの歩道を約2.5km、九里岩寺大橋の下をくぐって上流へ歩くと高徳(コドク)水辺生態公園。川に面した観察窓つきの野鳥観察台があります。ソウル市は2010年、この区間をオジロワシを含む猛禽類がいちばん多い漢江の探鳥コースに挙げつつ、「運が良ければ」と正直に書き添えていました。

📍 Naverマップで開く——岩寺 📍 Naverマップで開く——高徳


ガイド付きの野鳥観察プログラムはある?

あります。ほとんど無料ですが韓国語で行われ、ソウル市の公共予約サイトyeyak.seoul.go.krで申し込みます。枠はすぐ埋まります。

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実際にどんな鳥が見られる?

ほとんどはカモ類・カワウ・カモメ類。でも猛禽類に出会える可能性もそこそこあります。公園の案内板は韓国語名なので、ハングルも添えておきます。

🔭 ソウル市が各スポットの紹介で挙げている冬の鳥

鳥韓国語名見られる場所
オジロワシ흰꼬리수리冬の栗島、運が良ければ岩寺側
カワウ민물가마우지栗島で集団ねぐら、江西でも
ホシハジロ흰죽지江西、いちばん大きな群れ
オシドリ원앙中浪川の龍飛橋・城東橋の下
オオハクチョウ큰고니岩寺
カワアイサ비오리栗島
ノスリ말똥가리江西、岩寺、高徳
オオバン물닭江西

1つだけ見るなら栗島のカワウ。確実に見られますし、何百万人が暮らす都市のど真ん中で、島の木々がまるごと白くなっている光景はそれだけで行く価値があります。ソウルにすむほかの動物はソウルの野生動物ガイドで。


鳥を驚かせずに観察するには?

距離をとる、静かに、おやつは自分だけ。過料がかかるルールもあります。

漢江バードウォッチングのマナー

  • エサをやらない。ソウル市は野鳥へのエサやりをしないよう呼びかけていて、オシドリのいる場所の案内板にも同じ注意書きがあります。
  • 探訪路から出ない。岩寺・高徳・栗島は生態・景観保全地域で、野生生物の捕獲・損傷には1,000万ウォン以下の過料が科されます。
  • ドローン禁止。ソウルの空はほぼ全域がもともと承認制。韓国のドローン規制を参照。
  • 静かに、ゆっくり。近づくより、展望台の望遠鏡や双眼鏡を使いましょう。
  • 風対策を。川辺は街中より寒いです。重ね着やカイロはソウルの冬の寒さ対策ガイドへ。

鳥インフルエンザで閉まることも

2014年1月に高病原性鳥インフルエンザが発生した際、ソウル市は江西湿地生態公園の渡り鳥展望台への立ち入りを一時制限し、漢江の生態施設8か所で屋外の探鳥プログラムを中止しました。今冬に発生すれば同様の措置があり得ます。遠出の前に未来漢江本部のサイトか120茶山コールセンターで確認を。

天気が荒れたらソウルの屋内スポットガイドがプランBに。漢江公園どうしの比較は漢江公園11か所比較、支流はソウルの川さんぽガイド、冬に歩きたい公園は季節別ソウルの公園でどうぞ。