8月の午後、ソウル近郊でいちばん涼しい場所のひとつが、光明(クァンミョン)の丘に開いた穴です。中は一年中およそ12℃。約60年にわたって金・銀・銅・亜鉛が掘り出され、1972年の洪水で閉山。その後30年あまりは塩辛(アミの塩辛)の貯蔵庫として使われていました。2011年に市が買い取り、2015年に有料化して以降、来場者は600万人を超えています。

光明はそんな街です。ソウルの九老区・衿川区と安養川をはさんで隣り合う人口約30万人の生活都市に、ちょっと変わった見どころが点在しています。ソウルからひと駅のKTX駅、韓国初のイケア、市が「全国7位の規模」とする市場、そして標高183mの「山」には人工滝の上を渡る吊り橋。どれも1日あれば回れます。

まず結論から

  • 場所:ソウルのすぐ南西。ソウル駅からKTXでひと駅、または7号線で加山デジタル団地からひと駅の鉄山、ふた駅の光明サゴリ。
  • おすすめの過ごし方:半日〜1日。夏や雨の日の洞窟、市場ランチ、KTX駅前でイケアやアウトレット。
  • 必見:1912年の金属鉱山を生かしたテーマ洞窟「光明洞窟」(大人10,000ウォン、月曜休館)。
  • 必食:光明伝統市場の手打ちカルグクスと緑豆チヂミ(ピンデトック)。

ソウルから光明への行き方は?

市場と道徳山なら7号線、洞窟ならKTXか77番バスが便利です。 洞窟は市の南端で地下鉄駅から離れているため、電車と路線バスを組み合わせるのが基本。以下は光明市が公式に案内しているルートです。

🚆 ソウルから光明へ(光明市公式案内、KTXの所要時間はKorail時刻表・2026年11月)

ルートソウルの出発地路線・バス乗車向いている目的地
KTX+77番バスソウル駅KTXで光明駅、8番出口から77番バスKTX約20分、バスで洞窟の終点へ洞窟、イケア、アウトレット
7号線+17番バス加山デジタル団地(1・7号線)7号線で鉄山、2番出口から17番バス地下鉄ひと駅、バスで洞窟の終点へ洞窟、道徳山
7号線加山デジタル団地(1・7号線)7号線で光明サゴリ地下鉄ふた駅市場、グルメ横丁
8507番+77番バス舎堂駅4番出口8507番でKTX光明駅、77番に乗り換えバス2本洞窟(舎堂から)

2026年11月の時刻表ではソウル〜光明のKTXは約18〜30分、大半の列車が19分前後です。KTXには交通カード(T-money)では乗れないので、Korailアプリか駅で乗車券を買いましょう。

まだ乗れない新路線

新安山線(汝矣島〜光明〜安山・始興)は工事中です。2026年10月のCNBジャーナルの報道では開業時期は正式に決まっておらず、2028年12月以降の見通し。光明駅に乗り入れる予定の月串〜板橋線も工事中です。今のところは7号線・KTX・バスが足になります。

光明は何で知られている?

鉱山、市場、鉄道駅、そして詩人です。 光明は1981年に市になるまで始興郡の一部でした。旅行者が訪れる場所は、市より古いものか、ずっと新しいもののどちらかです。

金属鉱山からテーマ洞窟へ

  • 1912年 — 日本の植民地期に加鶴里の始興鉱山が開発される。約60年で金・銀・銅・亜鉛を産出し、市は「首都圏最大の金属鉱山」と紹介。鉱石は日本へ運ばれた。
  • 1950〜1952年 — 朝鮮戦争中、住民が坑道に避難した。
  • 1972年 — 8月の洪水で鉱滓が下流に流れ出し、閉山。
  • 1978〜2010年 — 坑道は蘇莱浦口向けの새우젓 セウジョッ(アミの塩辛)貯蔵庫に。最盛期は年間約3,000樽。
  • 2011年 — 光明市が用地を買い取り、同年8月に一般公開。
  • 2015年 — 長さ194mの坑道が試飲・セラーを備えた「ワイン洞窟」に。

ふたつ目の物語は詩人奇亨度(キ・ヒョンド)。この街で育ち、1989年に29歳で亡くなりました。唯一の詩集が出る前のことです。市には彼の文学館があり、安養川沿いには遺作の詩12編のパネルが並びます。三つ目は号を「梧里(オリ)」という李元翼(イ・ウォニク)。清廉な官吏の手本とされる朝鮮の領議政で、宗家の屋敷がいまも素下洞に残っています。

そして21世紀の光明。市によれば延べ床面積48,184㎡の鉄骨とガラスのKTX光明駅ができたことで、線路脇の空き地にコストコ(2012年)、ロッテのアウトレットとイケア(いずれも2014年12月)が進出しました。市は駅発着の空港バスとして6770・6004・6014番を挙げており、朝早いKTXで南へ向かう前の拠点としても使えます。


光明の見どころは?

まず洞窟、あとは市場・道徳山・市南部のふたつの博物館から選びましょう。 5つは光明市の公式「光明九景」に入っており、6つ目はショッピングエリアです。

⛏️
光明洞窟
元・金属鉱山。内部は一年中12℃。黄金の滝、地底湖、ワイン洞窟。
🛒
光明伝統市場
光明サゴリ駅すぐ、約400店舗。麺、チヂミ、たい焼き。
🌉
道徳山の吊り橋
人工滝の上20mに架かるY字型の吊り橋。鉄山駅から歩ける。
📖
奇亨度文学館
入場無料。詩人の日記や原稿、隣に詩の公園。
🏯
忠賢博物館
朝鮮の名宰相の宗家と、王命で1630年に建てられた家。
🛋️
KTX光明駅エリア
韓国初のイケア、ロッテのアウトレット、コストコが駅周辺に。

光明洞窟(加鶴路85番キル142) — 公式の観覧コースは入口の「風の道」から始まり、水族館、岩盤をくり抜いた公演ホール、金色に輝く「黄金の道」と滝、地底湖、巨大な竜の造形を経て、韓国ワインを販売・試飲できる「ワイン洞窟」で終わります。所要は約1時間で、階段が多めです。8月でも上着を持参し、ベビーカーは入口に預けてください(持ち込み不可。飲食物とペットも不可)。屋外のラスコー展示館やVRのトロッコ体験は別料金です。

📍 Naverマップで開く

光明伝統市場(光梨路13番キル17-5) — 市は「全国7位の総合市場」と紹介しています。1970年代初めから自然にできた路地の迷路に約400店舗が入り、野菜、魚、餅、安い屋台料理が並びます。混むのは昼どきと週末。食べるべきものは後半で紹介します。

📍 Naverマップで開く

道徳山の吊り橋(道徳路86) — 道徳山は標高183mしかありませんが、麓の公園には壁泉と人工滝があり、その上にふたつの登山道を結ぶ高さ20m・長さ82mのY字型吊り橋が架かっています。鉄山駅2・3番出口から光明市民会館の横を歩いて向かいます。春は山頂の東屋のまわりがツツジで彩られます。人工滝の稼働は09:00〜17:30、冬は止まります。

📍 Naverマップで開く

奇亨度文学館(梧里路268) — 「青春」をテーマに、自筆の日記や新聞の新春文芸の表彰盾など約100点の遺品を展示。入場無料です。隣の詩の公園は、韓国語が読めなくても20分ほどの散歩にちょうどいい場所です。

📍 Naverマップで開く

忠賢博物館(梧里路347番キル5-6) — 市によれば韓国初の「宗家博物館」。見どころは屋外にあり、李元翼の肖像を祀る祠堂、宗家の母屋、そして観感堂。引退した宰相の2間の茅葺き家が雨漏りすると聞いた仁祖が、京畿監司に命じて1630年に建てさせた家です。12〜2月はまるごと休館なので注意。

📍 Naverマップで開く

KTX光明駅エリア(日直路17) — イケアとロッテのアウトレットは駅向かいの同じ住所(日直路17)にあり、コストコもすぐ近く。ソウルの家族連れが車で家具やブランドの割引品を買いに来る場所です。旅行者にとっては雨の日の寄り道か、列車に乗る前の食事場所として便利です。

📍 Naverマップで開く

🎫 観覧案内(光明市公式ページ、2026年10月確認)

施設時間休館日料金
光明洞窟09:00〜18:00、最終入場17:00(7〜8月は変動)月曜大人10,000/青少年5,000/子ども・65歳以上3,000ウォン
奇亨度文学館3〜10月09:00〜18:00、11〜2月09:00〜17:00月曜無料
忠賢博物館(観感堂)10:00〜17:00、最終入場16:00月曜、旧正月・秋夕連休、12〜2月大人10,000/青少年5,000ウォン
道徳山の人工滝09:00〜17:30冬季と0℃以下の日は停止無料(吊り橋は常時開放)

光明で地元の人が通う店は?

光明伝統市場とその周辺です。 市の安くておいしいものは市場に集まっていて、以下の麺とチヂミの店はどれも2026年10月に地元ブロガーが紹介しています。価格は注記したブログやニュースによるものです。

ホンドゥッケ・カルグクス(梧里路964番キル17、市場内) — 店名は手打ち麺をのばす長い麺棒のこと。店先で大釜が煮え立ち、外に行列ができている店です。いりこだしの手打ちカルグクス(太めでややとろみあり)か、あっさりしたチャンチグクスを。2026年10月のブログではチャンチグクスはまだ2,000ウォンでした。2階にも席があり、回転は速め。同じ記事では週末はスジェビとカルジェビを出していなかったそうです。

📍 Naverマップで開く

元祖光明ハルモニ・ピンデトック(光明路918番キル14-1) — 「元祖おばあちゃんのピンデトック」。店主が店先でチヂミを焼き、奥の客席は見た目以上に広い店です。頼むべきは縁がカリッとした緑豆ピンデトック。常連の2026年10月のブログでは大きな海鮮チヂミが16,000ウォン、マッコリも安いとのこと。2026年7月にKBS『町内ひとめぐり(동네 한 바퀴)』で紹介されました。

📍 Naverマップで開く

イェッチンミ・カルグクス(梧里路932) — 市場に近い梧里路沿いの、座って食べる麺の店。店の紹介には1985年創業とあります。メニューはカルグクス、マンドゥカルグクス、マンドゥクッ、蒸し餃子、夏は冷たい豆乳麺や若大根の麺と簡潔。2026年1月のKBS2『生生情報』の「公共交通で行く冬の旅」で光明洞窟とセットで取り上げられました。

📍 Naverマップで開く

市場の屋台通り — メイン通りの入口で特に行列が長いのは、あんこ入りのたい焼きプンオッパンとねじりドーナツクァベギ。韓国経済新聞は2025年1月、プンオッパンが3個1,000ウォン、ホットクが500ウォンで、人気店では20分待ちもあったと報じています。

光明サゴリ・グルメ横丁(5番出口) — 夕食なら、光明サゴリ駅5番出口から徒歩5分の、市が最初に指定した「飲食文化通り」へ。老舗の居酒屋から新しいカフェまで約40軒が並び、2021年10月に指定されました。

📍 Naverマップで開く

🍜 光明グルメ早見表(Naverブログ、2026年10月確認/韓国経済新聞、2025年1月)

店エリア注文地元で愛される理由
ホンドゥッケ・カルグクス市場内手打ちカルグクス、チャンチグクス市場価格の手打ち麺。チャンチグクス2,000ウォン
元祖光明ハルモニ・ピンデトック市場緑豆ピンデトック、海鮮チヂミ大きなチヂミと安いマッコリ
イェッチンミ・カルグクス梧里路、市場の近くマンドゥカルグクス、マンドゥクッ1985年創業とされる座って食べる麺の店
屋台市場のメイン通りプンオッパン、クァベギ、ホットク500〜1,000ウォンの屋台おやつ
光明サゴリ・グルメ横丁7号線5番出口店による夕食や一杯に約40軒

光明を1日で回るモデルコースは?

午前は洞窟、昼は市場、午後は道徳山。 バス移動を先に済ませ、帰りは地下鉄で戻る順番です。

季節ごとのポイントと実用情報

  • 月曜:洞窟、奇亨度文学館、忠賢博物館はすべて休み。市場や商業施設は営業しています。
  • 夏:洞窟はソウル近郊随一の避暑スポットで、7〜8月は最も混み、営業時間も変わります。週末は駐車場が埋まるので、市は公共交通の利用を勧めています。
  • 秋:10月中旬の週末に「光明洞窟光の祭り」。第4回の2026年10月16〜17日はドローン1,000機のショーがあり、17:00以降は洞窟方面への車両進入が規制されました。
  • 冬:忠賢博物館は12〜2月休館、道徳山の人工滝も停止。洞窟は常に12℃なので、冬はむしろ暖かく感じます。

あわせて読みたい

この記事は京畿道31市郡シリーズの一本です。光明の隣町は、干潟と海の始興、安養、富川。ソウルに接する市をまとめて比べるならソウルの隣の12都市、鉄道で遠出するならKTX・SRT日帰り旅へ。川向こうのソウル側には加山のアウトレットと九老・新道林があります。

データと出典

  • 光明洞窟 観覧案内(時間・料金・月曜休館・12℃) — https://www.gm.go.kr/cv/gc/CVGC_14000.jsp
  • 光明洞窟 アクセス(17・77・8507番バス) — https://gm.go.kr/cv/gc/CVGC_16000.jsp
  • 光明洞窟 沿革(1912〜2016年) — https://www.gm.go.kr/cv/gc/11/CVGC_11200.jsp
  • 光明市文化観光「光明九景」(洞窟、市場、道徳山吊り橋、KTX光明駅、忠賢博物館、奇亨度文学館) — https://www.gm.go.kr/tour/gmNine/nine01.jsp 〜 nine07.jsp
  • 光明市文化観光 光明サゴリ・グルメ横丁 — https://www.gm.go.kr/tour/tourInfo/fas/food/food03.jsp
  • IKEA Korea 会社概要(光明店 2014年12月開店) — https://www.ikea.com/kr/en/this-is-ikea/about-us/about-ikea-korea-pub3c09f721
  • 全北日報(2022年)KTX光明駅周辺の大型店進出の経緯 — https://www.jjan.kr/articleAmp/20220710580260
  • 亜洲経済(2021年)光明洞窟、有料化6年で来場者600万人突破 — https://www.ajunews.com/view/20210426144629781
  • ソウル〜光明KTX所要時間:Korail時刻表(koreacharts経由、2026年11月2日) — https://info.koreacharts.com/traintime/10007/10099/contents.html
  • 韓国経済新聞(2025年1月23日)光明伝統市場の価格 — https://www.hankyung.com/article/2025012360117
  • 新安山線の状況:CNBジャーナル(2026年10月)/月串〜板橋線:京畿日報(2026年10月)
  • 2026年光明洞窟光の祭り:中央新聞・時事ジャーナル・京仁毎日(2026年10月)
  • 飲食店:Naverブログ・Naver Place(2026年10月確認。KBS放送の情報は各ブログの記載による)