日本人もアメリカ人も中国人も、同じオンラインストアで韓国ブランドの服を買っている。同じ棚から、それぞれ違うものを手に取る。だからムシンサは1600万人会員の取引・検索・レビューデータを国別に分解した。この記事はその帰結をまとめたものだ。

韓国20・30代メンズが「本当に着ている」ブランドが韓国の中を覗いた記事なら、こちらはその隣に他国を並べる記事になる。

まず結論から

  • 日本はストリート — 男性客は特にレザーとファーの韓国ブランドに集中。
  • 米国はビッグ — ゆったりシルエットと存在感のあるデザイン。
  • 韓国は小さく差をつける — ベーシックを生地・ディテール・フィットで選ぶ。
  • 中国は別の軸 — シルエットではなく、シティレジャーとアウトドア。

ムシンサのデータは3か国をどう分けたか

直答:韓国・日本・米国を比較し、結論はシルエットと生地に集約された。

🌏 ムシンサ2025年トレンド総括 — 1600万人会員、2025年1月1日〜12月12日の取引・検索・いいね・レビューデータ

データが示すもの代表例
日本ストリート感性を強調したアイテム。男性はレザー・ファーに集中イエスアイシー Cロゴスウェット(男女とも1位)、ドープジェイソン · アカム
米国ゆったりシルエット、存在感のあるデザインライク・ザ・モーストのフーディ
韓国ベーシック優先、生地・ディテール・フィットで微差別化ワークウェアムード全般

韓国はさらに世代で分かれる。10〜20代男性はウォッシュドのワイドデニム30代男性はミニマルなダービーシューズ。20代はシルエットで、30代は仕上げで自分を定義する — そう読める。

+83%
ムシンサのランニングシューズ売上前年比 — キーワードは「ランニングコア」
55,600
2025年の単品ベストセラー — ナイキ エアフォース1 ホワイト
6.6M足
ムシンサの2025年シューズ総販売量
+24%
フレグランス売上成長率 — グルーミングが服の外へ拡大

数字を読むときに持っておく前提

これはムシンサユーザーのデータで、各国男性全体のデータではない。ムシンサを使う日本人はそもそも韓国ファッションに関心がある人たちなので、正しい読み方は「日本人男性はこう」ではなく「韓国の服を買う日本人はこう」だ。


いま日本で起きていること

直答:成長率が他市場と桁違いだ。

ムシンサの日本グローバルストアは2026年の1〜7月、わずか7か月で2025年通年の取引額に到達した。その2025年の取引額自体が2023年の5倍以上で、3年CAGRは136%。2026年上半期も新規会員数と取引額がそれぞれ前年比2倍以上になった。

オフラインの数字も同じくらい際立っている。

日本のマーケティング会社INGが2026年7月に行った15〜18歳の高校生向け調査「よく使うネットショッピングサイト・アプリ」で、ムシンサは9位。シーイン、アマゾン、Qoo10、楽天が並ぶリストで、トップ10に入った唯一の韓国企業だ。

業界の見方も同じ方向を指す。ストリートウェアメディアは昔から、日本のスタイル — バルーン型パンツ、ゆったりしたカット、POPEYEが広めたシティボーイ的美学 — を、韓国のストレートパンツ、身体に沿うニット、アスレジャー比率の高さと対比してきた。ムシンサのプラットフォームデータと業界の定性的な読みは同じ方向を向いている。

なぜ中国は同じ表に入っていないのか

直答:中国がムシンサの3か国比較に入っていないから。そしてそれ自体が情報だ。

ムシンサが中国法人を立てたのは2025年で、オフラインは2026年5月時点で5店舗(ムシンサスタンダード4店とムシンサ1店)。2025年12月の上海店オープン後、中国のオンライン売上は前月比約2倍に伸び、2026年4月には上海以外で初の杭州 恒隆広場店を出した。

中国で確認できたのはシルエットではなく、アクティビティだ。

🏃 中国で確認できたこと — ムシンサのデータと外部の業界レポートが重なる部分

出典内容
ムシンサ(2026年5月)最も反応が良いのはムシンサスタンダードの「シティレジャー」。2026 SSのシティレジャーウィンドブレーカーが主力
ムシンサ(2026年上半期)早い猛暑と高湿度で冷感素材のTシャツとパンツの需要が増加
中国アウトドア白書(2025)アウトドア参加率が30%超、参加者の7割以上が19〜30歳
中国アウトドア白書(2025)用品市場CAGR 12.1%、うちシューズ・アパレルは13.5%とより速い
中国アウトドア白書(2024)アウトドア市場が1,900億元超

2つの出典が互いを支え合う。ムシンサは「ランニングやサイクリングが上海から広がるためシティレジャーが売れる」と言い、白書は「参加者の7割以上が19〜30歳で、シューズ・アパレルが用品より速く伸びる」と言う。同じ現象の両面だ。企業の自社発表だけの主張は弱いが、外部の業界統計と重なれば固くなる。

もうひとつの軸は新中式(新中華スタイル) — 伝統の要素を今の服に再構成したもの。市場は2024年に2,200億元超、2025年は2,500億元が見込まれ、中心購買層は25〜34歳、主な価格帯は500〜2,000元。ただし出典が女性向けアイテムを述べているため、男性の割合は未確認。

中国を扱うときの注意

「中国メンズウェア市場規模」で検索すると、6,500億元、5,900億、5,959億 — 同時に全部違う数字が出てくる。どれもレポート販売サイトの数字だ。この記事は方法論が公開されていない市場規模推計を意図的に省いている。


韓国男性の服は何が特徴か

直答:目立たないが、完璧にフィットする服を選ぶ。ムシンサが韓国を「ベーシック優先、生地・ディテール・フィットで微差別化」と総括したのがまさにそれだ。前の記事が書いたように、反応は「このジャケット見て」ではなく「そのジャケットどこで買ったの?」になる。

学術的な裏付けもひとつある。Humanities and Social Sciences Communications に2025年5月掲載の研究は、韓国の男性ファッションYouTuberトップ10の動画をテキストマイニングし、韓国メンズファッションの特徴を4つ抽出した。

3つ目が特に韓国的だ。アメリカ人が存在感を増すために着る同じオーバーサイズを、韓国人はプロポーションを補正するために着る。同じ服、違う目的。

米国はどうか

ムシンサデータの「ゆったりシルエット」は現地の小売データとも一致する。2024年秋、米英の小売サイトでバギーが最も売れたメンズルックになり、ボトムのボリュームが増えるにつれ、バランスを取るフィットしたトップスが伸び、米国のセーター売上は同期間に7%増えた。


衣料支出が実際に伸びているのはどこか

直答:中国だけが伸びていて、残りは縮んでいる。

💰 各国政府統計による衣料支出 — 方法が違うので絶対額は比べず、方向だけを見ること

指標金額増減
中国1人あたり年間衣料支出(2025年)1,554元+2.2%
日本2人以上世帯の月間被服・履物(2025年)10,063円名目+0.8% / 実質−1.8%
韓国世帯月間衣類・履物(2025年)141,000ウォン−0.2%
米国世帯年間衣料・サービス(2024年)2,001ドル−2.0%

中国は1人あたり、残りは世帯あたりで、基準年も品目定義も違う。金額を横に並べてはいけない。ただ、4つとも各国政府の一次統計であり、方向は紛れもない — 成熟した3市場は財布を閉じ、中国だけが開いている。

その構図こそが、ムシンサが日本でポップアップを繰り返しながら2027年の常設店を準備し、中国にすでに5店舗を敷いた理由だ。

旅行者にとっての意味

ソウルで服を買うなら、この違いは本当に役に立つ。

出典

  • 国の好みの違い・ランニングシューズ・シューズ・フレグランス — ムシンサ2025年トレンド総括(2025年12月31日公開、分析期間2025年1月1日〜12月12日、1600万人会員)
  • 日本の取引成長・東京ポップアップ来場者・2027年常設店 — ヘラルド経済 · イートゥデイ(2026年8月27日)、インサイトコリア(2026年5月29日)
  • 日本の高校生ネットショッピングプラットフォーム調査 — ING、2026年7月8〜9日ネット調査、15〜18歳。グッドモーニング経済(2026年8月5日)経由
  • 中国シティレジャー・オフライン店舗 — インサイトコリア(2026年5月29日)、ニューシス(2026年4月27日)
  • 中国アウトドア参加率・市場規模 — 得物アプリ×CIC「2025年アウトドアスポーツ白書」(2025年10月14日)
  • 韓国メンズファッションの4特徴 — Lee & Suh, "Decoding Korean men's fashion trends", Humanities and Social Sciences Communications 12:718(2025年5月27日)
  • 米国バギーシルエット・セーター売上 — EDITED · サーカナの数字、ブルームバーグ(2024年10月)
  • 衣料支出統計 — 中国国家統計局(2026年1月)、総務省統計局 家計調査(2025年)、韓国 家計動向調査(2025年)、米国労働統計局 消費者支出調査(2024年)