光化門でコーヒーを飲んでいると、週末ごとに広場を埋める旗が目に入ります。梨泰院(イテウォン)駅1番出口横の路地には花が手向けられ、病院の受付票には満年齢が書かれ、地下鉄では株アプリを開いたスマホがあちこちに。2020年以降に韓国で何があったのかを知ると、こうした光景が少し違って見えてきます。

まず結論から

  • 2020〜2022年は新型コロナの時代でした。マスク5部制、QR出入名簿、ソーシャルディスタンスを経て、2022年4月18日に距離確保措置が全面解除されました。
  • その後、青瓦台の開放、梨泰院惨事、満年齢への統一、韓江のノーベル文学賞、済州航空の惨事が続き、2024年12月3日に宣布された非常戒厳は数時間で解除されました。
  • 2025年4月4日に憲法裁判所が大統領の罷免を言い渡し、6月3日に前倒しの大統領選挙が行われました。2026年10月時点で関連の刑事裁判は控訴審が進行中で、訪韓外国人観光客は過去最多を記録しています。

2020〜2026年をひと目で

📅 年ごとの代表的なニュースと、いま残る痕跡(2026年10月時点・毎年12月更新)

年代表的なニュースいま残る痕跡
2020新型コロナ拡大、マスク5部制、『パラサイト』アカデミー作品賞体調が悪いとマスクをつける習慣、入口の手指消毒液
2021距離確保4段階、『イカゲーム』Netflixにあふれる韓国作品
2022青瓦台開放、光化門広場の再オープン、カカオトーク不通、梨泰院惨事光化門広場、梨泰院「記憶と安全の道」
2023満年齢への統一、セマングム・ジャンボリー、釜山万博誘致失敗書類の年齢はすべて満年齢
2024医学部増員をめぐる対立、韓江ノーベル文学賞、12・3非常戒厳、済州航空惨事書店の韓江コーナー、汝矣島の国会議事堂
2025憲法裁判所の罷免決定、6・3大統領選、慶州APEC、個人情報流出、ケデホンにぎわう国立中央博物館、青瓦台に戻った大統領室
2026戒厳裁判の一審、6・3地方選挙、北中米ワールドカップ、過去最多の訪韓客さらに混み合う観光地、どこでも聞こえる株の話

コロナ禍の韓国では何が起きていた?(2020〜2021)

2020年 — マスク5部制と『パラサイト』

韓国で初めて新型コロナの感染者が確認されたのは2020年1月20日。マスクが品薄になると、政府は3月9日から、出生年の末尾の数字で曜日を分けて薬局で公的マスクを買えるようにするマスク5部制を実施しました。公的マスク制度は7月12日に終了。6月からは、カラオケやクラブなどの高リスク施設に入る際にQRコードを読み取る電子出入名簿が導入されています。

同じ年の2月9日(現地時間)、ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』が米アカデミー賞で作品賞・監督賞・脚本賞・国際長編映画賞の4部門を受賞しました。英語以外の言語の映画が作品賞に輝いたのは、これが初めてです。

いまのソウルでは: 風邪気味ならマスクをつける習慣や、建物の入口やエレベーター前の手指消毒液は、この時期の名残です。韓国映画の興行記録は韓国映画 歴代観客動員ランキングにまとめています。

2021年 — 距離確保4段階と『イカゲーム』

2021年7月12日、首都圏に距離確保の最高段階である4段階が適用され、午後6時以降は2人までしか集まれなくなりました。11月1日には段階的日常回復が始まったものの、感染者が再び増え、完全な解除は翌年に持ち越されます。

9月17日にNetflixで配信された『イカゲーム』は世界的にヒットし、翌年の米エミー賞で監督賞(ファン・ドンヒョク)と主演男優賞(イ・ジョンジェ)を受賞しました。

いまのソウルでは: Netflixのトップ画面に韓国ドラマが並ぶのは、もう当たり前の光景です。韓国の人が実際に何を見ているのかは韓国の動画配信:OTTとテレビの見方で紹介しています。


コロナ明けの韓国はどう変わった?(2022〜2023)

2022年 — 青瓦台の開放、そして10月29日

2022年4月18日、ソーシャルディスタンスが全面解除されました。5月10日には大統領執務室が龍山(ヨンサン)に移り、青瓦台(チョンワデ)が市民に開放され、8月6日には面積を広げた光化門(クァンファムン)広場が再オープンしています。10月15日には板橋(パンギョ)のデータセンター火災でカカオトークが長時間止まり、カトク不通(카톡 먹통)という言葉が生まれました。

10月29日の夜、ハロウィンを前に人が押し寄せた梨泰院の狭い路地で、大規模な群衆事故が起きました。公式の犠牲者数は159人とされてきましたが、イーデイリーの報道によると、2026年6月に行政安全部が、当時救助を手伝ったあとトラウマに苦しみ亡くなった商人を犠牲者として追加認定し、160人になりました。韓国ではこの出来事を10・29梨泰院惨事と呼んでいます。

いまのソウルでは: 梨泰院駅1番出口の横、惨事が起きた路地は2023年に「10・29記憶と安全の道」という追悼空間として整備されました。京郷新聞の報道によると、4周忌の政府追悼式は2026年10月29日午前10時29分に光化門広場で開かれる予定と発表されています。ハロウィン期間の安全対策は梨泰院ハロウィン2026の混雑と安全対策に、いまの街の雰囲気は梨泰院2026 — 別の街になったにあります。

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追悼の場所を通るときは

記憶と安全の道は、お店が営業しているふつうの路地です。写真を撮るなら追悼の言葉や手向けられた花を中心に手短に、大きな声は控える。それで十分です。ハロウィン期間中は、この一帯で人流管理や通行規制が行われることがあります。

2023年 — 満年齢、ジャンボリー、万博

2023年6月1日に新型コロナの危機段階が引き下げられ、事実上のエンデミックが始まりました。6月28日には民法と行政基本法の改正で、法律と行政の年齢が満年齢(マンナイ)に統一されています。

8月に全羅北道セマングムで開かれた世界スカウトジャンボリーは、猛暑と運営上の問題が重なったうえ台風の北上もあり、参加者全員が8月8日に野営地を離れました。閉営式は8月11日、ソウルワールドカップ競技場でのK-POPコンサートという形で行われています。11月28日(現地時間)には2030年万博の開催地投票で、釜山が29票にとどまり、119票を得たサウジアラビアのリヤドに敗れました。

いまのソウルでは: 病院の受付、ホテルの予約、契約書に書かれる年齢はすべて満年齢です。ところが会話の中では、まだ別の数字が出てきます。その理由は韓国の年齢の数え方で解説しています。


韓国の非常戒厳、その後どうなった?(2024〜2026)

2024年 — ノーベル文学賞、非常戒厳、済州航空の惨事

2月6日に政府が医学部の入学定員を2,000人増やすと発表すると、専攻医(研修医)が病院を離れ、医政対立は年をまたいで続きました。2026年度の募集人員は増員前の水準である3,058人に戻り、2026年2月に政府は2027年度から490人増やす案をあらためて決めています。10月10日には、作家の韓江(ハン・ガン)が韓国人として初めてノーベル文学賞の受賞者に選ばれました。

12月3日午後10時27分、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領(当時)が非常戒厳を宣布しました。国会は12月4日午前1時ごろ、在席議員190人全員の賛成で解除要求決議案を可決し、戒厳は同日午前4時30分ごろ国務会議を経て解除されました。12月14日には、大統領の弾劾訴追案が国会で可決されています。韓国ではこれを12・3非常戒厳と呼びます。

12月29日には、バンコク発で務安(ムアン)国際空港に着陸しようとしていた済州航空(チェジュ航空)7C2216便の事故で、搭乗者181人のうち179人が亡くなりました。事故原因は航空・鉄道事故調査委員会が調べています。務安国際空港は惨事以降も滑走路の閉鎖が続いており、2026年9月には閉鎖期間が12月24日まで再び延長されました。

いまのソウルでは: 光化門の教保文庫(キョボ文庫)のような大型書店では、韓江の本がいまも目立つ場所に並んでいます。書店選びは韓国人が書店に行く本当の理由、航空安全の記録は韓国の航空事故一覧を参考にしてください。

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2025年 — 罷免、前倒しの大統領選、ケデホン

憲法裁判所は2025年4月4日午前11時22分、裁判官8人全員一致で大統領の罷免を言い渡しました。6月3日の第21代大統領選挙では共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)候補が当選し、翌日に就任しています。7月末には韓米の関税交渉が妥結し、10月31日〜11月1日には慶州(キョンジュ)でAPEC首脳会議が開かれました。10月27日には、KOSPIが初めて4,000ポイント台で取引を終えています。

暮らしに直結する事故も相次ぎました。4月のSKテレコムのUSIM情報ハッキングを皮切りに、KT・ロッテカード・クーパンで個人情報の流出が続き、9月26日には大田(テジョン)の国家情報資源管理院の火災で政府のオンラインサービスが軒並み止まりました。一方、6月にNetflixで配信されたアニメ『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』、韓国での略称ケデホン(케데헌)が世界的にヒットし、作品に出てくる韓国文化を自分の目で見ようと、博物館にも人が足を運ぶようになりました。

青瓦台は2025年7月31日に観覧を終え、大統領室の復帰準備に入りました。報道によると、大統領は12月29日から青瓦台の執務室に出勤し始めています。

いまのソウルでは: ニューシスの報道によると、国立中央博物館は2025年に約650万人が訪れて過去最多を記録し、ミュージアムショップはいまも混み合っています。買い物のコツはソウル博物館グッズ|国立中央博物館MU:DSの買い方へ。青瓦台の敷地内は2026年10月時点で以前のような自由観覧が難しく、すぐ前の青瓦台サランチェと周辺の散策路をめぐるくらいが現実的です。

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2026年 — 一審判決、地方選挙、記録の年(10月時点)

2026年2月19日、ソウル中央地裁は内乱首謀の罪で起訴された尹錫悦前大統領に一審で無期懲役を言い渡し、尹前大統領側と内乱特別検察官チームの双方が控訴しました。尹前大統領側は無罪を主張しています。マネートゥデイの報道によると、ソウル高裁の控訴審は11月初めに弁論を終える予定で、2026年10月時点で判決の日程は決まっていません。

6月3日の第9回全国同時地方選挙では、広域自治体首長16カ所(全羅南道・光州の統合を反映)のうち共に民主党が12カ所、国民の力が4カ所で勝利し、投票率は61.0%でした。ソウル市長には国民の力の呉世勲(オ・セフン)候補が当選し、初の5選ソウル市長が誕生しています。6月の北中米ワールドカップで、韓国はグループリーグ初戦でチェコに勝ったものの1勝2敗に終わり、ベスト32進出はなりませんでした。

観光は記録を塗り替えました。文化体育観光部は、今年の訪韓外国人観光客が10月27日ごろに昨年の年間最多記録(約1,894万人)を上回ったと発表しています。株式市場の熱気も続いていて、地下鉄で株アプリをのぞき込む人はもう見慣れた風景です。

いまのソウルでは: 光化門広場とソウル市庁前は、いまも集会とお祭りが入れ替わりで開かれる場所です。数字が気になるなら訪韓外国人 2026年過去最多 数字で見ると韓国の株ブーム2026を、政党や集会の文化については韓国の政党を5分で整理をどうぞ。

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8 : 0
2025年4月4日 憲法裁判所の罷免決定(裁判官全員一致)
79.4%
2025年6・3大統領選挙の投票率
61.0%
2026年6・3地方選挙の投票率
12 : 4
2026年 広域自治体首長の結果(共に民主党:国民の力)

今、韓国旅行に行っても大丈夫?

大丈夫です。2024年冬から続いた政治の動きは、国会の決議、憲法裁判所の決定、選挙、裁判という順序で進み、その間も地下鉄や観光地、お店はふだんどおり営業していました。旅行者が実感する変化といえば、週末の都心の集会くらいです。

旅行者にとって本当に変わったこと:書類の年齢は満年齢、大統領の執務室は再び青瓦台へ、そして観光地は過去いちばんの混雑。体感としては、政治ニュースより予約争奪戦のほうが大きな変数です。

旅行前にチェックしておきたいこと

  • 土曜の午後、光化門・市庁・汝矣島(ヨイド)周辺では集会による交通規制が入ることがあります。バスより地下鉄が便利です。
  • 汝矣島の国会議事堂は事前申し込みで見学できます。
  • 11月以降に変わる旅行関連の制度は2026年11月の韓国旅行の変更点まとめに集めました。

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データと出典

  • 法務部「満年齢統一のための民法および行政基本法改正案、2023年6月28日から施行」 https://moj.go.kr/bbs/moj/189/566088/artclView.do
  • ノーベル財団 2024年ノーベル文学賞発表 https://www.nobelprize.org/prizes/literature/2024/press-release/
  • 政策ブリーフィング「青瓦台観覧申込231万人突破」(2022) https://www.korea.kr/news/policyNewsView.do?newsId=148901569
  • ソウル市『내 손안에 서울』「光化門広場の変遷史」 https://mediahub.seoul.go.kr/archives/2013741
  • ソウル市『내 손안에 서울』「18日からソーシャルディスタンス全面解除」 https://mediahub.seoul.go.kr/archives/2004303
  • 江南区庁 公的マスク購入案内(2020) https://www.gangnam.go.kr/board/article/4371/view.do?mid=fm0503
  • 電子新聞「12・3非常戒厳の宣布から罷免までの123日の記録」(2025.4.4) https://www.etnews.com/20250404000289
  • イーデイリー「行政安全部、梨泰院惨事の犠牲者を159人から160人に変更」(2026.6.26) https://edaily.co.kr/News/Read?mediaCodeNo=257&newsId=03539126645485656
  • 京郷新聞 梨泰院惨事4周忌追悼行事の報道(2026.10.22) https://www.khan.co.kr/article/202610222115015/
  • 京郷新聞「記憶と安全の道」ビルボードの報道(2025.10.23) https://www.khan.co.kr/article/202510231654001/
  • 韓国日報 青瓦台復帰と観覧の変化の報道(2025.12.18) https://www.hankookilbo.com/news/article/A2025121814230002166
  • マネートゥデイ 内乱首謀事件の控訴審日程の報道(2026.10.15) https://www.mt.co.kr/society/2026/10/15/2026101519053918011
  • 京郷新聞「特検、『尹錫悦一審無期懲役』に控訴」(2026.2.25) https://www.khan.co.kr/article/202602251844001/
  • 政策ブリーフィング「李在明大統領、青瓦台に初出勤」 https://www.korea.kr/news/policyNewsView.do?newsId=148957272
  • 週刊京郷「大統領選の最終投票率79.4%と暫定集計」(2025.6.3) https://weekly.khan.co.kr/article/202506032155001
  • MTN「務安空港の滑走路閉鎖、さらに3か月延長…12月24日まで」(2026.9.29) https://news.mtn.co.kr/news-detail/2026092910132337737
  • Television Academy『イカゲーム』受賞歴 https://www.televisionacademy.com/shows/squid-game
  • アジア経済 6・3地方選挙結果の報道(2026.6.4) https://view.asiae.co.kr/article/2026060409594459665
  • ニューシス「呉世勲、史上初の5選ソウル市長」(2026.6.4) https://www.newsis.com/view/NISX20260604_0003656058
  • ニューシス 国立中央博物館2025年観覧者数の報道(2026.1.2) https://www.newsis.com/view/NISX20260102_0003463626
  • Al Jazeera, South Africa stun South Korea to reach World Cup knockouts(2026.6.25) https://www.aljazeera.com/sports/2026/6/25/south-africa-stun-south-korea-to-reach-world-cup-knockouts-for-the-first-time
  • 文化体育観光部 訪韓外国人観光客の年間記録更新の発表(2026.10.27)— 数値はSeoulWindow「訪韓外国人 2026年過去最多 数字で見る」の出典一覧を参照