韓国の会社で年俸契約書に書かれる金額は、税引き前の額面です。そこから毎月6つの項目が差し引かれ、残りが口座に振り込まれます。国民年金(韓国の公的年金、국민연금)、健康保険(国民皆保険の公的医療保険、건강보험)、長期療養保険(日本の介護保険に近い制度、장기요양보험)、雇用保険(고용보험)、所得税(소득세)、地方所得税(지방소득세)の6つです。この記事では、その6項目が年収3,000万ウォンから2億ウォンまでの区間ごとにそれぞれいくらになるのかをウォン単位まで計算し、1つの表にまとめました。韓国の会社員の税金の仕組みや他国との比較は韓国の会社員の税金ガイドで別に解説しているので、ここでは数字そのものに集中します。

まず結論から

  • 手取りは、年収3,000万ウォンで月約225万ウォン、5,000万ウォンで約355万ウォン、1億ウォンで約659万ウォン、2億ウォンで約1,161万ウォンです(単身世帯の場合)。
  • 4大保険(4대보험:国民年金・健康保険・長期療養・雇用保険)の本人負担は月給の約9%。国民年金は2026年7月から月31万3,020ウォンが上限なので、年収約8,000万ウォンを超えるとそれ以上は増えません。
  • 控除率は年収3,000万ウォンの10.2%から2億ウォンの30.4%まで上がります。この差を生んでいるのは4大保険ではなく、累進税率がかかる所得税です。
9.7%
4大保険の本人負担料率の合計(2026年、長期療養を含む)
31.3万ウォン
本人負担の国民年金の月額上限(2026年7月〜)
14.7%
年収5,000万ウォンの総控除率
30.4%
年収2億ウォンの総控除率

年収別に、4大保険は毎月いくら引かれる?

年収5,000万ウォンなら、4大保険で毎月約38万5千ウォンが引かれます。いちばん大きいのは国民年金で、次が健康保険。下の表は2026年の本人負担率(国民年金4.75%、健康保険3.595%、長期療養保険は健康保険料の13.14%、雇用保険0.9%)で計算した月額です。

🧾 2026年 年収別4大保険の本人負担額(月額、ウォン)

額面年収額面月給国民年金健康保険長期療養雇用保険4大保険合計
3,000万ウォン2,500,000109,25082,68010,86020,700223,490
3,500万ウォン2,916,667129,04097,66012,83024,440263,970
4,000万ウォン3,333,333148,830112,64014,80028,200304,470
5,000万ウォン4,166,667188,410142,60018,73035,690385,430
6,000万ウォン5,000,000228,000172,56022,67043,200466,430
7,000万ウォン5,833,333267,580202,51026,60050,690547,380
8,000万ウォン6,666,667307,160232,47030,54058,200628,370
9,000万ウォン7,500,000313,020262,43034,48065,700675,630
1億ウォン8,333,333313,020292,39038,42073,190717,020
1億2,000万ウォン10,000,000313,020352,31046,29088,200799,820
1億5,000万ウォン12,500,000313,020442,18058,100110,690923,990
1億8,000万ウォン15,000,000313,020532,06069,910133,2001,048,190
2億ウォン16,666,667313,020591,97077,780148,1901,130,960

保険料は、額面月給から非課税の食事手当(비과세 식대)20万ウォンを引いた額に料率を掛け、10ウォン未満を切り捨てて出しています。4大保険がそれぞれ何なのか、ざっくり整理するとこうなります。

4大保険ってそもそも何?

  • 国民年金 老後に受け取る公的年金。2026年の総料率9.5%を会社と折半します。2033年まで毎年0.5ポイントずつ上がり、最終的に13%になります。
  • 健康保険 病院・薬局の医療費をカバーする国民皆保険。総料率7.19%を会社と折半します。
  • 長期療養保険 高齢者の介護サービスの財源。単独では計算せず、健康保険料に13.14%を掛けて一緒に徴収されます。
  • 雇用保険 失業給付と職業訓練の財源。本人は0.9%、会社は規模に応じてそれより少し多く払います。

国民年金はなぜ年収8,000万ウォンから増えなくなる?

国民年金の保険料を計算するときの月の所得、つまり基準所得月額(기준소득월액)に上限があるからです。2026年7月から2027年6月までの上限は月659万ウォン。月給が1,000万ウォンでも2,000万ウォンでも659万ウォンとみなして4.75%を掛けるので、本人負担の国民年金は313,020ウォンで頭打ちになります。非課税の食事手当を除いた月給が659万ウォンを超える、年収約8,150万ウォンから先は全員同じ金額というわけです。

この上限は加入者の平均所得の変動に合わせて毎年7月に見直されます。2026年6月までは上限637万ウォンで、最大額は302,570ウォンでした。下限もあり、月の所得が41万ウォン未満なら41万ウォンとして計算します。

一方、健康保険と雇用保険は、この表の年収区間では月給に比例して増え続けます。健康保険にも会社員の保険料上限はありますが、月給が億単位に届いてようやくかかる水準なので、年収2億ウォン以下では関係ありません。

その結果起きる逆転現象:月給に占める4大保険の割合は年収8,000万ウォンの9.4%がピークで、それより上ではむしろ下がり、2億ウォンでは6.8%になります。国民年金が上限で固定されるためです。高所得層の控除率を押し上げているのは、もっぱら所得税なのです。

税金まで引くと、口座にはいくら残る?

年収1億ウォンなら、手元に残るのは毎月約659万ウォン、年間で約7,905万ウォン。下の表の所得税は1年分の確定税額を12で割った値で、地方所得税は所得税の10%です。ドル換算は、2026年9月30日のソウル外国為替市場の終値(1ドル=1,352.8ウォン)を丸めた1,350ウォンで計算しました。

💰 2026年 年収別の税金と月の手取り(単身世帯、非課税の食事手当月20万ウォン)

額面年収所得税地方所得税控除合計控除率月の手取りドル換算年間手取り
3,000万ウォン28,5302,850254,87010.2%2,245,130約$1,663約2,694万ウォン
3,500万ウォン55,7305,570325,27011.2%2,591,397約$1,920約3,110万ウォン
4,000万ウォン105,85010,580420,90012.6%2,912,433約$2,157約3,495万ウォン
5,000万ウォン206,81020,680612,92014.7%3,553,747約$2,632約4,264万ウォン
6,000万ウォン313,41031,340811,18016.2%4,188,820約$3,103約5,027万ウォン
7,000万ウォン420,01042,0001,009,39017.3%4,823,943約$3,573約5,789万ウォン
8,000万ウォン576,92057,6901,262,98018.9%5,403,687約$4,003約6,484万ウォン
9,000万ウォン755,58075,5501,506,76020.1%5,993,240約$4,439約7,192万ウォン
1億ウォン935,64093,5601,746,22021.0%6,587,113約$4,879約7,905万ウォン
1億2,000万ウォン1,337,500133,7502,271,07022.7%7,728,930約$5,725約9,275万ウォン
1億5,000万ウォン2,176,540217,6503,318,18026.5%9,181,820約$6,801約1億1,018万ウォン
1億8,000万ウォン2,990,570299,0504,337,81028.9%10,662,190約$7,898約1億2,795万ウォン
2億ウォン3,572,830357,2805,061,07030.4%11,605,597約$8,597約1億3,927万ウォン

年収3,000万ウォンなら額面の約90%、1億ウォンなら約79%、2億ウォンなら約70%が手元に残ります。韓国の給与所得者の年収の中央値が約3,400万ウォン台であること(国税庁の2024年帰属データを伝えた報道による)を考えると、韓国の会社員の半分は、この表の最初の2行あたりにいると思ってよさそうです。韓国人が実際にいくら稼いでいるかは、韓国人の年収ガイドで職業別に見られます。

所得税はどの年収から大きく増える?

年収8,000万ウォン前後で、税金が初めて4大保険を上回ります。8,000万ウォンでは4大保険が月62万8千ウォン、所得税と地方所得税が63万5千ウォンとほぼ同じで、そこから上は税金のほうがずっと速く増えていきます。年収が1億ウォンから2億ウォンへ2倍になると、4大保険は1.6倍なのに、所得税は3.8倍に膨らみます。

理由は、韓国の所得税が課税標準の区間ごとに6%から45%まで上がる累進課税だからです。勤労所得控除や各種控除を引いた課税標準で、1,400万ウォンまでは6%、5,000万ウォンまでは15%、8,800万ウォンまでは24%、1億5,000万ウォンまでは35%、3億ウォンまでは38%。年収2億ウォンなら課税標準が1億5,000万ウォンを超えるので、最後の区間に38%がかかります。区間ごとの税率表の全体は韓国の会社員の税金ガイドにあります。

給与明細の数字がこの表と少し違うときは

会社は毎月、国税庁の簡易税額表(간이세액표)に従って所得税を前もって天引きし、翌年1〜2月の年末調整(연말정산)で1年分の実際の税額と突き合わせ、差額を還付するか追加徴収します。この表は年末調整後の確定税額ベースです。たとえば年収1億5,000万ウォンの場合、韓国の年収計算ツールの簡易税額表ベースでは月の所得税が約237万ウォンで、この表の約218万ウォンより多めです。その差は年末調整で戻ってくる分。扶養家族がいたり、カード利用額・保険料・家賃の控除があったりすれば、実際の税金はさらに減ります。

会社は給料のほかにいくら払っている?

年収5,000万ウォンの社員1人につき、会社は4大保険として毎月約39万5千ウォンを上乗せで払っています。国民年金・健康保険・長期療養は本人と同額、雇用保険は本人より多く払います(従業員150人未満の事業所は1.15%)。さらに業種ごとに料率が異なる労災保険(산재보험)がかかり、1年以上勤めれば退職金(퇴직금、年収の約12分の1)も別に積み立てられます。

🏢 会社負担の4大保険の例(月額、ウォン、従業員150人未満の事業所、労災保険を除く)

額面年収国民年金健康保険長期療養雇用保険会社負担合計
3,000万ウォン109,25082,68010,86026,450229,240
5,000万ウォン188,410142,60018,73045,610395,350
1億ウォン313,020292,39038,42093,530737,360
2億ウォン313,020591,97077,780189,3601,172,130

つまり韓国で「年収5,000万ウォン」の人にかかる会社側の実際の人件費は、退職金と労災保険まで含めると年6,000万ウォン近くになります。

韓国で働く外国人なら

  • 外国人労働者も基本的には同じ4大保険と所得税を払います。この表をそのまま参考にしてかまいません。
  • 外国人は条件によって、通常の累進課税の代わりに19%の単一税率を選べます。高所得になるほど有利になる場合があるので、会社の給与担当者に確認しましょう。
  • 国民年金は、国籍によっては帰国時に払った分を返還一時金(반환일시금)として受け取れます。詳しい条件は韓国の会社員の税金ガイドと外国人の健康保険ガイドにまとめています。

この表はどんな前提で計算した?

数字はすべて、2026年10月時点で適用されている料率を使って独自に計算しました。前提は次のとおりです。

4大保険の金額は韓国の年収計算ツールの表とウォン単位まで一致し、所得税はツールの簡易税額表の値と年収区間によって数%の差が出ました(上のメモ参照)。実際の金額は会社の給与体系や個人の控除によって変わるので、正確な額は国税庁ホームタックスの模擬計算か、会社の給与担当者に確認するのがおすすめです。この手取りがソウルの暮らしでどの程度の水準なのかは、韓国の1か月の生活費ガイドとあわせて読むとイメージがつかめます。

データと出典