まず結論から
- 韓国内のCDアルバム販売は2023年がピークで、2024年−19.5%、2025年−7.4%と2年連続で減った(サークルチャートTop 400)。
- 一方でアルバム輸出は増え、2025年は3億174万ドルで初めて3億ドルを突破。2026年上半期だけで2億5,748万ドル(+125%)に達した(関税庁)。
- お金の流れはアルバムから公演・グッズへ。HYBEの2026年上半期売上の34.3%が公演、20.9%がMD・ライセンスだった(DART半期報告書)。
- ファン向けアプリも大きな商売。バブルを運営するDearUの2025年売上は838億ウォン、料金はアーティスト1人あたり海外から月US$4.49。
K-POPファンが1年にいくら使っているのか、それを一つの数字で示す公式統計はない。けれどもお金が通る場所には必ず数字が残る。アルバム販売の集計、税関を通ったアルバムの輸出額、そして上場事務所が金融当局に提出する売上の開示だ。
この記事では2026年10月時点でそれらの数字をつなげてみた。アイドル本人の収入はK-POPアイドルと俳優の収入、どのグループが人気かは2026年K-POP人気グループで扱っている。ここで見るのは、ファンの財布から出たお金が市場全体でどれくらいの規模になるか、という一点だけ。
K-POP業界の市場規模は2026年でどれくらい?
上場大手4社だけで2025年の売上は約5兆1,900億ウォン。HYBE・SM・JYP・YGがDART(韓国の電子公示システム)に提出した2026年半期報告書の2025年売上を足した数字だ。2026年は上半期だけで約3兆4,200億ウォンなので、このペースなら昨年の通年を超える。
🏢 大手4社の売上(DART公示、億ウォン)
| 会社 | 2024年 | 2025年 | 2026年上半期 |
|---|---|---|---|
| HYBE | 22,556 | 26,499 | 21,483 |
| SM | 9,897 | 11,749 | 6,287 |
| JYP | 6,018 | 8,219 | 3,691 |
| YG | 3,649 | 5,454 | 2,749 |
| 合計(計算値) | 42,120 | 51,921 | 34,210 |
HYBEの2026年上半期売上は前年同期(1兆2,063億ウォン)より78.1%増え、第2四半期には四半期売上が初めて1兆ウォン台(約1兆4,500億ウォン)に乗った。BTSのワールドツアーがそのまま数字に表れた形だ。
ただし売上イコール利益ではない。HYBEの2025年営業利益は493億ウォンで、営業利益率は1.9%にとどまった。2026年第1四半期は営業赤字(暫定1,966億ウォン)、第2四半期に1,709億ウォンの黒字へ戻している。
K-POPのアルバム販売は減っている?
2年続けて減ったあと、2026年はまた伸びている。サークルチャート(旧ガオンチャート)の集計では、2023年に年間販売量が初めて1億枚を超え、2024年に10年ぶりの減少に転じた。
グラフの年間値は、ヘラルド経済がサークルチャートの月間累計をもとに報じた数字。同じ年でもメディアによって数字が違う(Music Business Worldwideは2023年1億1,570万枚、2024年9,330万枚)。月間累計で数えるか、1〜50週の週間累計で数えるかが異なるためだ。だから増減はサークルチャート自身が出した割合で見るのが確実で、Top 400合計で2024年−19.5%、2025年−7.4%となる。
2025年の減少には偏りがある。サークルチャートのキム・ジヌ首席研究委員による1〜50週のレビューでは、男性アーティストの販売が2.9%減だったのに対し、女性アーティストは19.9%減。全体に占める男性アーティストの比率は74.5%だった。CDなしでアプリで聴くプラットフォームアルバム(Weverse Albumsなど)のシェアは2.3ポイント伸びた。
2026年は逆方向に動いている。サークルチャートの集計を引用した報道を並べるとこうなる。
- 1〜5月:約4,540万枚。2023年の同じ時期より240万枚多い(亜細亜経済)。
- 上半期:約5,500万枚、前年同期より約1,100万枚多い(世界日報)。上半期の最多販売はBTS『ARIRANG』の4,224,016枚(ファイナンシャルニュース)。
- 1〜9月:約7,900万枚、前年同期より約760万枚多い。第4四半期に約2,100万枚売れれば3年ぶりに年間1億枚に戻る(ヘラルド経済)。
なぜ同じアルバムを何枚も買うの?
K-POPのアルバムは音楽と同じくらい「付録」が主役。バージョンごとに写真集が違い、ランダムのトレカ(포토카드)が入っているので、推しのカードが出るまで同じアルバムを買い重ねる。アーティストと間近で会えるサイン会(팬사인회)はアルバム購入が応募条件のことが多く、これも枚数を押し上げる。2024〜2025年の減少は、こうしたまとめ買いが落ち着いた影響が大きいと業界では見られている。
K-POPアルバムをいちばん買っている国は?
2026年上半期時点ではアメリカ。関税庁の輸出統計で、アメリカは2026年第1四半期に初めて日本を抜いて1位(28.8%)となり、上半期全体でも首位を守った。
国内販売が減った2024〜2025年も輸出は伸び続けた。2025年の3億174万ドル(約4,443億ウォン)は過去最高で、初めて3億ドルを超えた記録。Music Business Worldwideが引用した関税庁の数字では2019年の輸出額が7,460万ドルなので、6年で4倍以上になった計算だ。2026年上半期の2億5,748万ドルは、半年で2025年通年の約85%に届いている。
日本は2025年に1位だったものの前年比−10.2%。日本のファンの方には少し意外な順位かもしれない。
🌏 アルバム輸出の上位3か国(関税庁、万ドル)
| 順位 | 2025年通年 | 2026年上半期 |
|---|---|---|
| 1 | 日本 8,062(−10.2%) | アメリカ 7,412 |
| 2 | 中国 6,972(+16.6%) | 中国 6,118 |
| 3 | アメリカ 6,397 | 日本 4,561 |
2025年の4〜10位は台湾・ドイツ・香港・オランダ・カナダ・フランス・ポーランド(毎日新聞〔韓国〕の報道)。2026年第1四半期の輸出は1億2,000万ドルで、四半期として初めて1億ドルを超え、131か国に出荷された。同じ四半期に北米向けは449.2%、欧州向けは397.7%増えた(NEWSIS・韓国経済新聞の報道)。
ファンのお金はアルバムから公演・グッズへ?
事務所の開示を見るかぎり、そうだ。アルバム中心だった売上構造が、公演とMD(公式グッズ)の側に傾いている。最大手のHYBEがいちばんわかりやすい。
2024年のHYBE売上ではアルバム・音源が38.2%、公演が20.0%だった。2025年は29.2%と28.8%でほぼ並び、2026年上半期には公演(7,364億ウォン)がアルバム・音源(5,983億ウォン)を逆転。地域別では北米が38.6%(8,296億ウォン)で、韓国国内の25.3%を上回った。
ほかの3社も同じ方向だ。
- JYP:2026年上半期、MD売上1,044億ウォンがアルバム1,017億ウォンを初めて上回った。上半期売上の28.3%にあたる(DART)。
- YG:BLACKPINKのワールドツアーがあった2025年は公演売上が1,264億ウォンで、2024年の170億ウォンの7倍超。ツアーのない2026年上半期は403億ウォン(DART)。YGはアルバムとMDをまとめて開示しているので、MDだけを切り出せない。
- SM:キウム証券のレポートによると、2026年第1四半期の公演売上は608億ウォンで56%増、アルバムは575億ウォンで15%減。
バブルやWeverseなどファンアプリの規模は?
バブルだけで2025年の売上は838億ウォン。アーティストからトーク風のメッセージが届く購読アプリバブル(버블)を運営するDearUの半期報告書(DART)の数字だ。2026年上半期の売上は468億ウォンで、その76%が海外から。売上の97%がアプリストアのアプリ内課金による。
💬 バブルの購読料(アーティスト1人・月額・アプリ内課金)
| 支払い地域 | 値上げ前 | 2025年の値上げ後 |
|---|---|---|
| 韓国内 | 4,500ウォン | 5,000ウォン |
| 海外 | US$3.99 | US$4.49 |
購読はアーティスト単位なので、同じグループの複数メンバーを追うと人数分かかる。2026年半期報告書の時点で、K-POPアーティスト約350人とC-POPアーティスト128人が参加している。購読者数は開示されていない。
HYBEのWeverseは、開示上アルバム・MD・コンテンツの販売窓口でもある。HYBE売上の「ファンクラブ等」は2025年に1,364億ウォン(5.1%)。Weverseの2026年の月間利用者数はHYBEの報告書に載っていないため、ここでは扱わない。
ファン1人は1年にいくら使う?
信頼できる公式調査の数字は今回見つけられなかった。わかるのは単価だけだ。バブルでメンバー1人を1年購読すると、海外料金でUS$53.88(US$4.49×12か月)、韓国内なら6万ウォン。そこにアルバム・グッズ・公演が上乗せされる。チケットの価格と予約方法はソウルの公演チケット予約ガイドにまとめている。
ソウルで実際にできること
この数字の流れをいちばん手軽に体感できるのは、アルバム・グッズの店と事務所のポップアップだ。
- アルバム・グッズ:明洞・弘大・聖水・仁寺洞・COEXのCDショップやトレカ交換ショップ、SMのKWANGYA@SEOUL(聖水)やYGのthe SameE(仁寺洞)といった事務所公式ショップ、免税(タックスリファンド)の条件まで、ソウルK-POPアルバム・グッズ買い物ガイドにエリア別でまとめている。
- 龍山(ヨンサン)HYBE社屋のポップアップ:HYBEは2026年3月から龍山の社屋1階ロビーをアーティスト別のポップアップ会場にしている(第1弾はBTS「ARIRANG」、3月20日〜4月12日、コリア・ヘラルド報道)。Weverseでの予約制で、開催中のアーティストは入れ替わるので、行く前にWeverseで確認を。2023年1月に閉館した博物館HYBE INSIGHTとは別の場所だ。
- 音楽番組の観覧:カムバック週にアイドルを生で見るいちばん手軽な方法。申し込み方はK-POP音楽番組の観覧ガイドへ。
- コンサート:予約は公演チケットガイド、会場近くの宿はコンサート会場近くのホテルを参考に。
実用メモ
- 推しのトレカ1枚が目当てなら、アルバムをまとめ買いする前に弘大周辺のトレカ交換ショップをのぞいてみよう。場所は買い物ガイドに載っている。
- 1つの店でグッズをたくさん買うなら、先に免税の条件を確認しておこう。2026年のルールは買い物ガイドにある。
データと出典
- サークルチャート — キム・ジヌ「2025年間チャートレビュー」(2026年1月20日)
- サークルチャート — キム・ジヌ「2025アルバム販売量レビュー」(2025年12月23日)
- ヘラルド経済 — 2026年1〜9月のアルバム販売量、サークルチャート引用(2026年10月14日)
- allkpop — サークルチャート2024年末データ(2025年1月)
- 亜細亜経済 — 2026年1〜5月のアルバム販売量(2026年7月13日)
- 世界日報 — 2026年上半期のアルバム販売量(2026年7月19日)
- ファイナンシャルニュース — 2026年上半期の最多販売アルバム(2026年7月10日)
- Music Business Worldwide — 2024年のアルバム販売と輸出(2025年)
- 日刊スポーツ(韓国) — 2021年アルバム輸出額、関税庁引用(2022年12月19日)
- 世界日報 — 2022年アルバム輸出額、関税庁引用(2023年11月26日)
- 毎日新聞(韓国) — 2025年アルバム輸出が過去最高、関税庁引用(2026年1月16日)
- NEWSIS — 2026年第1四半期のアルバム輸出(2026年4月28日)
- 韓国経済新聞 — 2026年第1四半期の国別アルバム輸出(2026年4月28日)
- デジタルデイリー — 2026年上半期のアルバム輸出(2026年7月17日)
- DART — HYBE 2026年半期報告書(2026年8月14日)
- DART — HYBE 2026年上半期暫定業績(2026年7月28日)
- DART — SMエンタテインメント 2026年半期報告書(2026年8月14日)
- DART — JYPエンターテインメント 2026年半期報告書(2026年8月14日)
- DART — YGエンターテインメント 2026年半期報告書(2026年8月14日)
- DART — DearU 2026年半期報告書(2026年8月14日)
- キウム証券 — エンタメ・レジャー下半期見通し(2026年5月27日)
- キウム証券 — SMエンタテインメント企業レポート(2026年5月11日)
- コリア・ヘラルド — HYBE龍山社屋のアーティスト別ポップアップ(2026年3月23日)