まず結論から

  • 韓国ドラマ制作社協会の資料では、ドラマ本数(放送+配信)は2022年141本→2023年123本→2024年約100本(協会推計)。約3割の減少です。
  • 同協会によれば、平均の1話あたり制作費は4〜5年前の5億〜6億ウォンから、2024年には10億ウォン、多いと20億ウォンに。
  • 韓国コンテンツ振興院の比較(2023年9月 vs 2025年7月)では、SBSの木曜枠、JTBC・ENAの水木枠が消え、既存のドラマ枠をすべて守ったのはtvNだけでした。
  • 最大手スタジオドラゴンの制作本数は2022年33本→2025年19本。2026年の目標は25本以上です。

Netflixを開けば韓国ドラマがあふれているように見えますが、業界の数字は逆のことを言っています。韓国で作られるドラマは2022年をピークに減り、その間に1話あたりの制作費は何倍にもなりました。この記事では2026年10月時点で公開されている数字から「どれだけ減ったのか」「なぜ減ったのか」「また増えるのか」を整理し、最後にソウル近郊で歩けるドラマセットと、街なかで撮影現場に出くわしたときの心得をまとめます。

円換算は2026年10月28日のレート(1ドル=1,340ウォン、1ドル=158円)で、10億ウォン≒約1,180万円です。

141 → 約100本
韓国ドラマ本数 2022→2024(韓国ドラマ制作社協会、2024年は推計)
33 → 19本
スタジオドラゴンの制作本数 2022→2025
7,531 → 5,307億ウォン
スタジオドラゴンの売上高 2023→2025(会社発表)
46話中40話
2025年10〜12月、スタジオドラゴンのTV新作でグローバル配信に先行販売された話数

韓国ドラマは年に何本作られている?

2022年の約140本から、2024年には100本前後まで減りました。ただし「何本」は数える人によってかなり違います。 放送局のドラマだけを数えるのか、配信オリジナルを入れるのか、制作年と放送年のどちらで数えるのか。機関ごとに基準がばらばらなので、数字を一つに絞るより「誰が何を数えたか」を並べて見るほうが正確です。

📋 韓国ドラマの本数、誰がどう数えたか(2026年10月確認)

集計した機関(報じたメディア)数えた対象202220232024その他の年
韓国ドラマ制作社協会(ニュース1、2024年7月)放送+配信ドラマ141123105(2024年7月時点の見通し)—
韓国ドラマ制作社協会(ディールサイト2024年4月・インベスト朝鮮2025年9月)同じ協会資料の別報道135125 / 123約100(推計)—
大信証券(メディアオヌル、2026年1月)証券会社の独自集計、話数併記——80(1,007話)2025年85、2026年104(予測)
放送通信委員会 競争状況評価(週刊東亜、2025年5月)韓国の放送局ドラマのみ——772019年109
チョ・ヨンシン東国大教授(世界日報、2026年7月)専門家の分析136——現在約110

放送通信委員会の資料では、グローバル配信向けの韓国オリジナルが2019年の3本から2024年には22本に増えています。放送局が減らした分の一部を配信が埋めたものの、全部ではないということです。

大信証券集計の韓国ドラマ本数:2024年80本(1,007話、過去最少)、2025年85本(1,059話)、2026年予測104本(1,358話)

グラフには、毎年同じ方法で数えている大信証券の系列だけを使いました。この集計では2024年の80本が底で、2026年予測の104本は底から約3割増。協会の系列とは基準が違うので、同じ軸には混ぜていません。


最近、韓国ドラマが減ったのはなぜ?

制作費が何倍にも膨らんだのに、放送局も配信サービスもそのコストを払い続けようとしなくなったからです。 流れを順に追うとこうなります。

  1. 2021〜22年の配信バブル。 Netflix、ディズニープラス、TVING、Wavveが加入者獲得のために発注を急増させ、出演料も人件費も一緒に上がりました。2022年に本数がピークになったのはこのためです。Netflixは2023年、4年間で25億ドルを韓国コンテンツに投資すると発表しました。
  2. 2023年以降の配信の引き締め。 ザ・ファクトの報道では、2023年にTVINGは1,420億ウォン、Wavveは791億ウォンの営業赤字。韓国経済新聞と週刊東亜は、Netflixが制作会社に保証するマージンが2〜3年前の最大20%から5〜7%に下がったという業界の話を伝えています。
  3. 放送局の収益悪化。 広告がデジタルに移り、2024年の放送事業売上は18.8兆ウォンで2年連続の減少、営業利益は26.7%減でした(韓国IR協議会レポートが引く放送通信委員会データ)。
  4. 撮影期間の長期化。 週52時間制の導入後、16話ドラマの撮影は100〜120日から約180日に延びたと、ザ・ファクトが業界関係者の話として報じています。日数が増えればそれだけ人件費がかかります。
「作るほど赤字」の構造:チョ・ヨンシン教授(デジタルデイリー、2026年9月)によると、放送局が制作会社に払う放映権料は以前は制作費の40〜70%でしたが、いまは20〜30%程度。国内外の販売を合わせても回収できるのは制作費の75〜80%で、1話あたり約20%が赤字になるという分析です。

その結果が二極化です。大作はさらに大きくなり、1話数億ウォンで作られていた中規模ドラマがほぼ姿を消しました。韓国ドラマ制作社協会は2024年1月時点で、完成しても放送枠が決まらない作品が20本近く、寝かされた資金が約3,000億ウォンに上ると明かしています(エクスポーツニュース報道)。チョ教授は、多様なジャンルを保つには年120本ほどが必要だと見ています。


韓国ドラマの1話あたりの制作費はいくら?

韓国ドラマ制作社協会によると、2024年の平均は1話約10億ウォン(約1,180万円)、多いと20億ウォンです。 協会のペ・デシク事務総長は2024年7月のニュース1のインタビューで、4〜5年前の平均は5億〜6億ウォン、コロナ禍(2020〜21年)は6億〜7億ウォンだったと話しています。大作を含めると平均はさらに上がります。ヘラルド経済は2024年の平均を30億ウォン台、チョ教授は2018年の5.5億ウォンから2024年の35億ウォンへ約6倍と見ています。インベスト朝鮮は2025年の平均を約20億ウォンとし、日本なら1話約10億ウォンで作れると比較しました。

報道された1話あたり制作費:産後ケアセンター(2020)6.2億ウォン、ペントハウス(2020〜21)6.7億ウォン、財閥家の末息子(2022)16.6億ウォン、涙の女王(2024)35億ウォン、サムシクおじさん(2024)40億ウォン

ニュース1が同じ記事で挙げた作品ごとの数字を話数で割ると、2020年に1話6億ウォン台だった話題作が、2024年には35億〜40億ウォン(約4,100万〜4,700万円)になっています。4年で約6倍です。

💰 報道された大作の総制作費(公式発表ではなく報道値)

作品(プラットフォーム、公開年)報道された総制作費話数報じたメディア
北極星(ディズニープラス、2025)約700億ウォン(「史上最大」とPR)—インベスト朝鮮・シネ21
京城クリーチャー シーズン1+2(Netflix)700億ウォン17話ニュース1
ムービング(ディズニープラス、2023)約650億ウォン20話ニューシス
おつかれさま(Netflix、2025)500億〜600億ウォン(媒体で異なる)16話インベスト朝鮮・シネ21
涙の女王(tvN、2024)560億ウォン16話ニュース1
サムシクおじさん(ディズニープラス、2024)400億ウォン10話ニュース1
ナルコの神(Netflix、2022)約350億ウォン(1話58億ウォン)6話韓国経済新聞
財閥家の末息子(JTBC、2022)264.8億ウォン16話ニュース1

700億ウォンは約82億円です。Netflixとディズニープラスは作品ごとの制作費を公表しておらず、ニューシスの報道時もディズニーコリアは「ムービング」の金額について「明かせない」という立場でした。上の数字は業界推計を含む報道値として読んでください。

韓国俳優の1話あたりの出演料は?

公式統計はなく、報道で知られる主演クラスは1話3億〜5億ウォン(約350万〜590万円)です。 韓国経済新聞は、ドラマ制作費の40〜60%が出演料だと報じています(映画は20〜30%)。1話あたりの制作費が上がった最大の理由はここにあります。

背景:出演料に上限がないのはなぜ?

制作社協会は2024年1月の懇談会で出演料のガイドラインが急務だという点では一致しましたが、上限額は示しませんでした。ユ・インチョン文化体育観光部長官は2024年2月6日、政府が上限を決めるのは難しいとして業界の自主性に委ねると述べています(ザ・ファクト報道)。ちなみに中国は2022年の方針で、出演料の総額を制作費の40%以下、主演を出演料総額の70%以下に抑えました。

いま誰に人気があるのかは2026年の人気韓国俳優を数字で見る記事へ。


韓国ドラマが最近12話ばかりなのはなぜ?

1話あたりのコストが上がったので、話数を減らして総制作費を抑えているからです。 2010年代は16話が標準でした。MTNによると、2025年1月に放送中だったTVドラマ11本(帯ドラマを除く)のうち12話が6本、16話は3本だけ。配信オリジナルは6〜10話が珍しくありません。

話数以上に減ったのが편성(ピョンソン、編成)枠です。韓国コンテンツ振興院(KOCCA)は「放送・OTTトレンド2025 Vol.3」で、2023年9月と2025年7月の本放送ドラマの編成を比べています。

同じ資料によると、地上波ドラマの平均시청률(シチョンニュル、視聴率)(2024年3月〜2025年3月、ニールセンコリア)はKBS1が12.3%、SBS 8.43%、KBS2 7.57%、MBC 6.08%。バラエティ・教養・ドキュメンタリーは平均2%以下でした。ドラマはいまも放送局で一番見られているジャンルなのに、その枠が減っている。いまの状況をよく表す数字です。韓国の人が実際に何を見ているかは韓国人が見ている配信とテレビにまとめています。


2026年は韓国ドラマがまた増える?

回復の兆しははっきりしていますが、ペースはゆっくりです。 いちばん確かな一次資料は、韓国最大のドラマ制作会社で「涙の女王」も手がけたスタジオドラゴンの決算です。

スタジオドラゴンの年間制作本数:2022年33本、2023年30本、2024年18本、2025年19本、2026年目標25本以上

スタジオドラゴンの2025年の制作本数は19本で、2022年の33本より42%少なくなりました。売上高は2023年の7,531億ウォンから2024年5,501億ウォン(−27.0%)、2025年5,307億ウォン(−3.5%)へ。注目したいのは売上の重心です。2025年の海外売上は3,355億ウォン(+3.3%)で、国内の1,952億ウォン(−13.4%)を大きく上回り、10〜12月期にはTV新作46話のうち40話がグローバル配信に先行販売されました。韓国ドラマはますます「海外で売れること」を前提に作られています。

2026年に向けた材料はこちら。

背景:公式統計が一つにまとまらないのはなぜ?

韓国ドラマの本数だけを年単位できれいに出している政府統計は見つかりませんでした。協会の資料は報道を通じて少しずつ違う数字で伝わり(2022年は141本または135本)、証券会社は投資分析用に独自に集計しています。そのためこの記事では数字を一つに決めつけず、出典を添えて並べています。


ソウルで体験できること:ドラマセットと撮影現場

時代劇の大型セットはソウル近郊の龍仁(ヨンイン)にあり、ソウル市内では街なかのロケに出くわすことがあります。

MBC龍仁大長今パーク

MBCが運営する사극(サグク、時代劇)専用のオープンセットです。王宮や市場通りのセットを歩いて回れて、BTSのSUGA(Agust D)が「大吹打(テチュィタ)」のMVを撮った場所でもあります(BTSゆかりの場所参照)。以下は2026年10月29日に公式サイトで確認した情報です。

実用メモ:ソウルからの行き方

  • 公共交通(公式案内):水仁・盆唐線の器興(キフン)駅 → 龍仁エバーラインに乗り換え → 運動場・松潭大駅で下車 → フォーブス病院停留所から白岩(ペガム)行きバス → 白岩から105番バス(京南旅客、1日10便)またはタクシー。
  • 乗り換えが多く105番は本数が少ないので、半日以上は見ておきましょう。2人以上ならレンタカーやツアーのほうがずっと楽です。
  • 車:京釜高速道路・新葛IC → 嶺東高速道路(湖法方面)→ 陽智IC → 白岩方面。
  • 11月からは17:00閉園なので、入場は16:00までです。

📍 Naverマップで開く

地方には慶尚北道の聞慶セジェ・オープンセット場、慶尚南道の陜川映像テーマパークといった大型セットもあります。今回は公式情報で営業時間と料金を確認できなかったので、計画前にそれぞれの公式サイトで営業しているかを確かめてください。

ソウルの街でドラマのロケに出くわしたら

ソウル市内で商業撮影をするにはソウル映像委員会の事前承認が必要で、ソウル市設公団は撮影の14日前までの申請を勧めています。同公団の施設での撮影は4月と11月に集中し(2025年は4月23件、11月20件)、ちょうどいまの晩秋はロケに出会いやすい時期です。

ロケ地めぐりのルートとマナーはソウルの韓国ドラマロケ地ガイドにまとめています。

データと出典