まず結論から

  • 2025年の視聴占有率1位はKBSの21.584%(KBS1・KBS2など系列合算)。2位MBC 11.432%、3位はtvN・Mnetを持つCJ ENMで9.058%。放送メディア通信委員会、2026年9月30日発表。
  • 地上波4社(KBS・MBC・SBS・EBS)の合計は41.68%、総合編成4社(TV朝鮮・JTBC・MBN・チャンネルA)の合計は21.78%。この8社だけで63.46%になる。
  • 有料放送の加入は3,615万件(2025年下半期)、うちIPTVが59.6%。だからチャンネル番号はサービスごとに、つまりホテルごとに違う。
  • 英語ならArirang TVとKBS World。放送局を見に行くなら汝矣島のKBS Onと上岩DMC放送街へ。営業状況は事前に公式サイトで確認を。

ソウルのホテルでテレビをつけると、チャンネルが何十も並ぶ。どれが「本家の放送局」でどれがケーブルなのか、誰も教えてくれない。韓国ドラマのクレジットで見かけるtvNやJTBCが、KBSとどう違うのかもわかりにくい。ここでは2026年10月時点の公式データで、韓国テレビの見取り図を描いてみる。


ホテルでテレビをつけると何が映る?

大きく分けて地上波、総合編成チャンネル、報道チャンネル、一般ケーブルチャンネルの4層。リモコン1つで全部切り替わるが、法的な位置づけも稼ぎ方もそれぞれ違う。

📺 韓国テレビの層構造(2026年10月時点)

層主なチャンネル視聴方法性格
地上波KBS1・KBS2、MBC、SBS、EBSアンテナで無料受信+すべての有料放送公営(KBS・EBS)、広告収入の公営(MBC)、民放(SBS)
総合編成チャンネル(チョンピョン)JTBC、TV朝鮮、チャンネルA、MBNケーブル・IPTV・衛星新聞社系列、2011年12月1日に一斉開局
報道専門チャンネルYTN、聯合ニュースTVケーブル・IPTV・衛星24時間ニュース
一般ケーブルチャンネルtvN・Mnet・OCN(CJ ENM)、ENA(KT)、JTBC2・JTBC4(JTBC)ケーブル・IPTV・衛星バラエティ・ドラマ・音楽・スポーツなどの専門チャンネル
国際・英語Arirang TV、KBS WorldYouTubeなど(国内での編成はサービスにより異なる)海外視聴者向け

韓国では電波で無料放送する局を지상파(チサンパ=地上波)と呼ぶ。2層目は종편(チョンピョン)、「総合編成チャンネル」の略で、地上波と同じくドラマ・バラエティ・ニュースをすべて編成できる有料放送チャンネルだ。2011年の開局時にはJTBC 15番、MBN 16番、チャンネルA 18番、TV朝鮮 19番と地上波のすぐ後ろの番号をもらい、「黄金チャンネル」と呼ばれた。今の番号はサービスごとに違う。

ENAはCJ ENM系列ではない

名前が似ているのでよく混同される。tvN・Mnet・OCNはCJ ENM系列だが、ENAはKT系列のチャンネル。2003年にSkyHDとして始まり、2022年4月29日にENAへ改名した。『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』を放送したのがこのチャンネルだ。

さらに、これらのチャンネルを家庭やホテルに届けるサービスの層がある。IPTV(KT ジニTV、SKブロードバンド B tv、LG U+tv)、ケーブル(LGハロービジョンなど)、衛星(KTスカイライフ)がチャンネルのパッケージを売り、チャンネル番号を決めているのもこの事業者たちだ。

KBS・MBC・SBSは何が違う?

いちばんの違いはお金の出どころ。3局とも地上波だが、持ち主も財源もばらばらだ。

K-POPの音楽番組もこの区分どおりだ。KBS『ミュージックバンク』、MBC『ショー!K-POPの中心(音楽中心)』、SBS『人気歌謡』が地上波の音楽番組で、Mnet『M COUNTDOWN』はCJ ENMのケーブル側。観覧の申し込み方は音楽番組の観覧ガイドにまとめた。


韓国でいちばん見られているテレビ局は?

KBS。2025年の視聴占有率は21.584%で、2位MBC(11.432%)のほぼ2倍。放送メディア通信委員会(放メ通委)が2026年9月30日に発表した算定結果で、290事業者・423チャンネルが対象だ。

21.584%
KBSの視聴占有率、2025年(系列合算、放メ通委)
41.68%
地上波4社の合計、2025年
21.78%
総合編成4社の合計、2025年
−2.034pt
CJ ENMの増減、2024→2025年(最大の下落)
2025年の放送事業者別視聴占有率:KBS 21.6%、MBC 11.4%、CJ ENM 9.1%、TV朝鮮 7.0%、SBS 6.9%、JTBC 6.5%、MBN 4.2%、チャンネルA 4.1%、YTN 4.0%、KTスカイライフ 3.9%、聯合ニュースTV 3.5%、EBS 1.7%

KBS 1社で、MBCとCJ ENMを足したのとほぼ同じ。注目は3位のCJ ENMだ。tvN・Mnetなど複数のチャンネルを合算した数字なのに、1年で2.034ポイント落として最大の下げ幅になった。

視聴占有率は人気ランキングではない

テレビの総視聴時間のうち、ある事業者が占める割合のこと。系列チャンネルをすべて足し(KBS=KBS1・KBS2など)、同じグループの日刊紙の購読率を「媒体交換率」(2025年は0.51)で換算して加える。世論が1社に偏らないよう監視する規制用の指標なので、番組単位の視聴率とは別物だ。NetflixやYouTubeなどの動画配信は定義上対象外。

📊 2025年 放送事業者別視聴占有率 上位12社(放メ通委、2026年9月30日発表)

事業者区分2025年の占有率前年比
KBS地上波21.584%+0.722pt
MBC地上波11.432%+0.454pt
CJ ENMケーブル(tvN・Mnetなど)9.058%−2.034pt
TV朝鮮総合編成6.997%−0.444pt
SBS地上波6.932%−0.618pt
JTBC総合編成6.483%+0.338pt
MBN総合編成4.233%−0.521pt
チャンネルA総合編成4.063%−0.814pt
YTN報道3.995%+0.536pt
KTスカイライフ衛星(KT系列)3.853%+0.166pt
聯合ニュースTV報道3.488%+0.203pt
EBS地上波1.732%−0.127pt

長い目で見ればKBSも下がってきた。韓国記者協会の報道によると、KBSの占有率は2014年に31.210%、2021年22.555%、2022年22.334%。2024年はデジタルデイリーの報道で20.862%、2025年は21.584%と少し持ち直した。2023年の数字は今回確認できなかったのでグラフから外している。

KBSの視聴占有率の推移:2014年31.2%、2021年22.6%、2022年22.3%、2024年20.9%、2025年21.6%。2023年は未掲載

総合編成チャンネルも似た流れだ。韓国記者協会の報道では4社合計が2021年の26.650%から2022年に21.767%へ下がり、2025年の21.776%もほぼその水準にとどまっている。


韓国の人はまだテレビを見ている?

見ている。ただ、テレビの受け取り方と画面の使い道が変わりつつある。有料放送の加入数は2025年下半期に36,150,070件で、半年前より76,030件減った(放メ通委)。増えたのはIPTVだけだ。

2025年下半期の有料放送加入3,615万件のうち、IPTV 59.6%(21,535,256件)、ケーブル33.0%(11,935,236件)、衛星7.4%(2,679,578件)

ホテルのテレビもたいていこの3つのどれかにつながっている。同じKBS1でも部屋によって番号が違うのはそのためだ。

2025年 放送媒体利用行動調査(放メ通委、13歳以上8,320人)を伝えたデイリアン・ザ・ファクトの報道によると、テレビの1日平均利用時間は2時間28分で、スマートフォン(2時間5分)より長かった。それでも日常に欠かせない媒体にテレビを挙げた人は23.0%、スマートフォンは74.9%。災害時にいちばん信頼する媒体はテレビ放送(59.1%)だった。

同じ調査で動画配信(OTT)の利用率は81.8%。YouTubeのような無料動画も含む数字だ。面白いのは、OTTをテレビ画面で見る人が23.8%から36.4%に跳ね上がったこと。リビングのテレビが、放送よりアプリを映す画面になりつつある。

2026年9月の韓国動画配信アプリ月間利用者数(モバイルインデックス):Netflix 1,551万人、TVING 1,000万人、クーパンプレイ920万人、Wavve 398万人、ディズニープラス373万人

アイニュース24が伝えたモバイルインデックスの集計では、2026年9月はNetflixが15,507,477人で首位、TVINGが9,995,372人でクーパンプレイ(9,198,289人)を抜いて2位を取り戻した。スマホアプリを月1回以上開いた人の数なので、テレビアプリでの視聴は入らない。TVINGの9月の急増には、プロ野球中継やtvNの番組、個人情報流出の補償申請が重なったとの見方が韓国メディアで出ている。月ごとの変動は大きく、8月はクーパンプレイ(10,067,459人)が国内勢トップだった。

TVINGとWavveはまだ1つの会社ではない。CJ ENMは2025年9月にWavveを連結子会社にし、2サービスのセット券も出したが、ニュースウェイとマネートゥデイの報道によると2026年10月時点で法的な合併の本契約は結ばれていない。動画配信については韓国人が見ているOTTガイドとサブスク料金比較も参考に。


韓国のテレビ受信料はいくら?

月2,500ウォン(年30,000ウォン)で、1981年から一度も上がっていない。ウィキペディアと韓国の報道に基づく数字で、法令の原文は確認していない。旅行者が払うことはない。テレビのある世帯・事業所にかかるもので、1994年から韓国電力の電気料金と一緒に請求されてきた。

韓国記者協会の報道から、ここ数年の流れをまとめるとこうなる。

ホテルやAirbnbのテレビでKBS1がCMなしで流れているのは、この2,500ウォンのおかげだ。


韓国のテレビを英語で見るには?

いちばん確実なのはArirang TV。韓国国際放送交流財団が運営し、1997年に放送を始め、8言語でサービスしている。YouTubeの24時間ライブ「Live from KOREA」があるので、客室で映らなければスマホで流せばいい。

KBS Worldは2003年7月に開局した海外視聴者向けチャンネル。英語・中国語・マレー語などの字幕を付けてKBSの番組を流し、公式YouTubeチャンネルもある。韓国内のIPTV・ケーブルでの編成状況は確認できなかった。

韓国の地上波の本放送に英語字幕はまず期待しないほうがいい。ドラマを英語字幕で追いたいなら、Netflixか放送局公式のYouTubeクリップが現実的だ。

ホテルのテレビでチャンネルを探すコツ

  • リモコンのロゴを見る。genie tv・B tv・U+tvならIPTV、それ以外はケーブルかホテル独自のシステム。
  • 「番組表」またはEPGボタンを押すと、チャンネル名と番号が並んで出る。番号を覚えるより早い。
  • CNN・BBC・Arirangなど英語チャンネルの有無はホテル次第。フロントでチャンネル表をもらおう。
  • アンテナ受信だと首都圏の地上波はKBS1 9-1、MBC 11-1、SBS 6-1のように表示されるとされる(ウィキペディア)が、有料放送の番号とは違うことがある。

ソウルで実際に体験できること

放送局は汝矣島(ヨイド)のKBSと、上岩(サンアム)DMCの2か所に集まっている。どちらも働く人のための場所なので、「ツアー」より「散歩」のつもりで。

KBS On(汝矣島 KBS本館):ソウル市永登浦区汝矣公園路13。地下鉄5・9号線の汝矣島駅か、9号線の国会議事堂駅から歩ける。永登浦区庁の観光案内によると、放送の歴史展示、ニュースキャスター体験、バーチャルスタジオ体験がある。営業時間・休館日・料金・予約方法は確認できなかったので、訪問前にKBS公式サイトで運営状況をチェックしてほしい。近くで食べるなら汝矣島グルメガイドへ。

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上岩DMC放送街:デジタルメディアシティ駅(6号線・空港鉄道・京義中央線)9番出口。MBC社屋前の広場、SBSプリズムタワー、JTBC、YTN、CJ ENMセンター(M COUNTDOWNの収録スタジオ)、チャンネルAの上岩スタジオが同じ一角にある。ソウル市のメディアハブが紹介する、ムルビッ文化公園からMBC広場、DMCスターパークへの散歩ルートは40〜50分。建物の外観と広場は無料で歩けるが、常設の見学プログラムは確認できなかった。周辺の食事は上岩DMCグルメガイドを。

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音楽番組の観覧:無料だが、申し込んで当選しないと入れない。局ごとの手順は音楽番組の観覧ガイド、予約するだけで参加できるK-POP体験はソウルのK-POP体験ガイドにある。

Nソウルタワー:南山の頂上に立つあのタワーは、もともと放送用の送信塔。いまは報道チャンネルYTNが所有している(展望台の運営は別会社)。1995年に開局したYTNは2024年に民営化され、ユジングループが筆頭株主になった。